2020年、品質マネジメントシステム規格で最も有名な国際標準化機構は、「ISO 56000『イノベーションマネジメント – 基礎と用語』」を発行しました。それ以来、ISOは全部で8つのイノベーション規格をリリースしています。
イノベーションの国際規格を作ることは有用なのか?
これは、数週間前にInnoLeadの創設者兼CEOである Scott Kirsner氏と筆者が昼食をとりながら議論した内容です。
私たちは国際基準について聞いたことがあり、いくつかのウェビナーに参加したことはありましたが、実際には規格の内容を読んだことも、企業のイノベーターたちに導入事例を聞いたこともありませんでした。
▶内容を改めて確認してみる
スコット氏は、Entergy、Black & Veatch、DFW空港、シスコ、大手金融機関からイノベーターとしてのパイオニアと呼べる人々を招集し、2 つの ISO イノベーション規格「ISO 56002『イノベーション管理 – イノベーション管理システム – 要件』」と「ISO 56004『イノベーション管理評価 – ガイダンス』」を読み、議論しました。議論は率直かつ幅広い意見が取り上げられており、見る価値は大いにあります。
以下が私が学んだ3つのポイントです。
▶国際規格の制定は良いアイデアだ
これまで、イノベーションの評判は良くありませんでした。イノベーション活動は、業務外の趣味として扱われたり、お気に入りのアイデアを採算度外視で追求したりする、あくまでも景気が良いときに取り組むお楽しみ活動として扱われ、なかなか経営層の理解を得られませんでした。
しかし、ISO 規格化によって、イノベーションの認識やサポート方法が変わる可能性があります。
ISO の品質マネジメント規格が品質のフレームワークを確立したのと同様に、イノベーションマネジメント規格はイノベーションに対して同じことを目指しています。これらの規格は、共通の基礎と共通の用語 (ISO 56000)、イノベーションマネジメントシステムの要件 (ISO 56001 および ISO 56002)、測定 (ISO 56004)、知的財産管理 (ISO 56005)、パートナーシップ (ISO 56003) のガイダンスを提供します。これらの規格を確立することで、組織は担当者による手探り状態での「イノベーション活動に対する取組みを開始します」という提案から、構造化されたベスト プラクティス アプローチに移行することができます。
▶注意点もある
ただし、専門知識が不足している場合は危険な誤解を招く可能性があるため、注意が必要です。私が確認した2つの標準規格は合計で56ページに及び、内容が密で理解が難しく、シリーズの中で最も短い部類に入ります。専門用語や提案が多く含まれており、経験豊かな専門家でさえも圧倒されることがあり、初心者がその難易度を理解しないまま、これを単なる成功への指南書と誤解することもあります。イノベーションは状況により異なるため、採用する戦略や優先順位、評価基準は組織の広範な目標と一致している必要があります。基準を単なるチェックリストとして扱うと、時間と労力が無駄になり、「完璧な」イノベーションマネジメントシステムの構築が困難になり、結果的に経営陣の不満が高まる可能性があります。
▶最も重要な前提条件の要素が欠けている
イノベーションは状況によって異なりますが、それとは別に基盤となる重要な要素があります。
- リーダーシップのコミットメントと積極的な関与:リーダーシップの全面的なコミットメントと積極的な関与は不可欠です。リーダーがイノベーションの重要性を理解し、適切なリソースとサポートを提供しない場合、いかなる努力も無駄に終わる可能性があります。
- 隣接するイノベーションや急進的なイノベーションには、専任チームが必要:オペレーションとイノベーションは根本的に異なります。前者は、既知と未知が混在する状況で発生し、経験と専門知識が優先されます。後者は、未知が存在する状況であり、好奇心、創造性、実験が求められます。
- イノベーションはサイロ化されてはならない:イノベーションはサイロ化された状況では実現することはできません。コア事業と密接に連携する必要があります。コア事業の業績は、利用可能な資源に直接影響し、イノベーション・イニシアチブの方向性に影響を与えるからです。
これらの重要な要素はISO規格に記載されていますが、より具体的に特定されているわけではありません。この点を見落とすと、イノベーションにおける失敗のリスクが高まります。
▶不完全でも挑戦を始めることに価値がある
規格は完璧ではありませんが、イノベーションにおいて重要なのは、完璧を求めすぎて進歩を阻害しないことです。
この機会に、実際の環境で規格をテストし、機能しない部分を改善し、有効な要素を取り入れることが肝心です。そうすることで、継続的な改善と革新へとつながり、イノベーションへの道を開く第一歩となります。
この記事は、2024年8月15日にIdeascale.comに掲載されたロビン・ボルトン氏のブログ「ISO Innovation Standards: The Good, the Bad, and the Missing」を和訳したものです。
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