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イノベーション活動に対する評価の基本的な考え方

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 23.12.12
イノベーション活動に対する評価の基本的な考え方

イノベーション戦略を策定する際、現在の状況を把握し、目標を決めて評価する方法が重要になります。
その際には、組織、チーム、個人のイノベーションの活動状況を把握し、評価するための指標と評価方法が必要になります。
本記事では、基本的な考え方を解説します。

現時点の状況を知る

イノベーションを評価するためには現時点の状況把握は大変重要な要素です。それには以下のような多くの要因が考慮されます。

要因 概要
リーダーシップのコミットメント 経営トップやリーダー、マネージャーなどの役職者は、イノベーションの推進にどれほど深く関与していてるか?
チームエンゲージメント 従業員のイノベーション活動が奨励され、周囲はそれを認識し関心を示しているか?
イノベーションの推進者 誰がアイデアを考え、どのように伝えているのか?
測定・基準・尺度(メトリクス) イノベーション活動状況や進捗状況、ポートフォリオなどの仕組みがあり、どの程度の頻度で測定しているか?
トレーニング イノベーションに必要な力量要件と教育カリキュラムを策定し、組織はどのように取り組んでいるか?
コミュニケーション 部門内及び部門間、並びに顧客やその他のステークホルダーとのコミュニケーションの質と量、および方法などの確立は十分か?
イノベーション活動プロセスの壁 得た情報からアイデアを提示し、収束と洗練を行い、発展させ、導入までの過程はスムーズかつ簡単にできているか?
現在のイノベーションの規模 どのようなアイデアが開発され、どのレベルで導入されたか?
将来のイノベーションに対する野心 各ステークホルダーが最も実現したいことを把握し、それが実現できているか?

これらの要因は多角的に検討される必要があります。例えば、マネージャーは自分のアイデアを経営幹部に提案し、公正な評価と支援を得てそれをさらに発展させることができる可能性があります。しかし、チームメンバーは、マネージャーがこれを行っていることを知らないかもしれません。重要なステークホルダーを特定し、彼らからの率直なフィードバックを得ることで、より効果的なアプローチを構築できます。

これは通常、1対1のインタビュー、広範囲の匿名アンケート調査、組織内外でのフォーカスグループやグループインタビュー、顧客フィードバックなどの既存データの評価など、さまざまな方法を使って行われます。

注意:

このプロセスはテストではありません。イノベーションの評価には「合格」や「不合格」ということはなく、制度的な問題を診断するためのものでもありません。成功しているビジネスでも、イノベーション戦略が完全に欠けていることがありますが、長期的な持続にはそれが必要です。この評価は、目標達成に向けてどのような方向に進むべきかを決めるためのスタート地点となります。

目指す方向を決める

現時点の状況が把握できたら、目指す方向にどのような利点と障害があるかを知る必要があります。イノベーションへの道のりは、組織によって異なります。

たとえば、初期段階を完了したときに、サイロ化された漸進的なイノベーションが強みであることに気づいたとします。つまり、各部門は社内のイノベーションに対してかなり強力なアプローチをとっています。人々は、マネージャーにアイデアを持ち込むことができると感じており、マネージャーはマネージャーや上司と協力して、そのアイデアを開発し、実行しますが、それは主に部門内に留められています。

ここでの最初の質問は、「なぜ?」という単純なものです。これは、予期せぬ理由で生じる可能性があります。例えば、複数のオフィスを持つ組織で、特定のサービスに特化しているオフィスがある場合、集中化された組織に比べてコミュニケーションが少なくなる可能性があります。これらのオフィスは、自分たちのイノベーションが関連性があると認識されないか、共有することを奨励されない限り、自発的に情報を共有しようとは思わないかもしれません。また、日々の業務が忙しく、そのイノベーションが他の場所で役立つ可能性を考える余裕がない場合もあります。

この場合、オフィス間のコミュニケーションを促進し、提案を求めるにはどうすればよいかを自問自答するかもしれません。また、このフィードバックから目標を立てる必要もあります。

 

  • その結果を見て、あなたは何に満足していますか?また、チームはどのような過程を経てここまで到達したのですか?
  • どのような強みを活かして構築しましたか?
  • 対処する必要がある弱点は何ですか?
  • あなたと一緒に仕事をした関係者は、将来何を求めますか?

目指す方向が決まれば、それに向かって一歩を踏み出すことができます。

次に進むステップを決定

通常、次のステップはいくつかの異なるカテゴリに分けられます。これらのステップは、進行状況を示す複数の指標と組み合わせる必要があります。これらは、新しいデータソースを活用することも、既存の指標に基づいて構築することも可能です。

 

  • リーダーシップ
    経営幹部がイノベーションにどれほど協力的であり、どのように認識されているかを理解することは、リーダーシップレベルで何を行うべきかを決定する上で重要です。これらの目標は、現在及び将来のリーダーが組織でより強力なイノベーション文化を構築し、その努力をチームにどのように伝えるかが重要です。
  • 企業文化
    同様に、チームがどのようにイノベーションを行うのか、その背景を明らかにする事が重要です。それにより、その優れた取り組みに基づいて次のステップを開発し、より多くのツールやアプローチを提供することができます。また、チームが何を求めているか、そしてそれをどのように提供すれば良いかについても、より深い理解を得ることができます。
  • 投資とリソース
    これは取り組むのが最も困難な分野かもしれません。投資とは、イノベーションに向けた予算内での単なる資金の問題だけではなく、チーム全体がイノベーションのために時間とエネルギーを費やすことを意味します。しかし、従業員の仕事の進め方によっては、これが難しいこともあります。特にこれらの目標を設定する際には、チーム間の密接な協力が必要になります。
  • 外部エンゲージメント
    顧客やクライアントもイノベーション戦略の一部として参加する必要があります。彼らが最終的にどのイノベーションが真に必要かを決定するためです。しかし、下請け業者、業界内の他社、協力する非営利団体など、イノベーションプロセスに関与する他の外部グループも重要です。

最後に

これらのステップは、ステークホルダーと協力して開発される必要があり、その指標とニーズは明確でなければなりません。同様に、全員が定期的にチェックインし、指標の位置を確認し、進捗を監視できるように、タイムラインとリソースへのコミットメントが必要です。

また、これらのステップの設計には柔軟性も必要です。2020年の新型コロナ感染症によって得た教訓の一つは、外部要因によって、どんなに慎重に計画された戦略でさえも軌道修正が必要になる可能性があるということです。

また回復に向けた計画を策定しても世界情勢によって急激な円安や物価高など多くの変化が生じています。組織はこれらの教訓や情報から早期に対策を考え、意思決定し実行するイノベーション能力が必要になっています。

これは始まりに過ぎません。イノベーション戦略を策定すると、さらに多くの要素が浮かび上がってきます。

株式会社システムコンシェルジュでは、ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)を引用したイノベーションの仕組み化を行なったなかで人事評価制度とイノベーション管理ツール『IdeaScale(アイデアスケール)』を連動させています。
私たちのISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)を組織やビジネスに組み込みし、イノベーション活動状態の評価を行うことで、組織やチームを成功に導く方法を知りたい場合は、株式会社システムコンシェルジュへ遠慮なくご相談ください。


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INNOVATION WORLD 編集部

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