• 特集記事

リスク回避を重視する組織にイノベーションを起こす

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 24.03.05
  • SHARE
  • line

はじめに

「イノベーション」は今日のビジネス社会におけるバズワードとなっています。この予想外の変化をするデジタル時代において、イノベーションに取り組まない企業は現在の地位を維持することも困難になる時代になりました。

日本の大手企業が参加する「イノベーション100委員会」からの提言においても、「変化できない企業は消滅する」という危機感も発せられているほどです。

予想外のビジネス環境変化に対応する方法として、ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)を参考にした組織やビジネス戦略を立案する企業組織が目立つようになってきました。ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)は認証取得すること自体が目的ではなく、成功率の高いイノベーションをマネジメントする仕組みを実践するガイダンス規格となっています。

イノベーション活動とリスク回避のバランス

いくらイノベーションの仕組みを構築しても、その活動や判断を行うのは人(ヒト)です。イノベーション活動は、新しいアイデアを受け入れ、ある程度のリスクを許容することから始まりますが、心理的にリスクを回避してしまうのは仕方ないのかもしれません。リスクの許容度は、その企業体力や企業文化によって異なると考えられます。

多くのビジネス組織は既存事業への影響を考慮して低いリスクを選択してしまいがちです。低いリスクを選択することは悪いことではありません。しかしリスク回避ばかりに重点を置くと、大きな利益を得るチャンスを逃す可能性が高まることも忘れてはいけません。それはイノベーションの進展に大きな影響を与える可能性があります。

新規事業を軌道にのせるためには多大な時間と労力が必要ですが、既存事業があるなかで新規事業をスタートさせる場合、もしくは企業がスタートアップ企業に投資や協力する場合になると事業範囲を縮小したり、リソースや投資を少なくしたり、既存事業に影響がない範囲で活動することを選択してしまいます。

とくに経営者や事業責任者は、無意識にリスク回避を行う傾向があるため、外部のアクセラレーターと協力しながら進めることも選択肢のひとつです。

アクセラレーターとは、既存の企業が独自の技術を持つスタートアップと協力し、その成長を支援する外部の協力者を指します。現段階では、アクセラレーターに協力を求める企業も、信頼できるアクセラレーターも少ない状況ですが、日本では株式会社Relicという会社が代表的なアクセラレーターです。

リスクを避ける保守的な企業文化において、イノベーションをどのように実現すべきか、それは大きな課題です。ここではリスクとのバランスを保ちながらイノベーション管理を改善するための5つの方法を紹介します。

1)イノベーションを育む文化を作る

優秀なイノベーションリーダーは、「成功」「失敗」など、何らかの区別・分類を行い、同僚に不安やストレスを与える可能性のある言葉や表現を避け、自分たちが想定した価値が相手に伝わっているのかを気にします。アジャイル開発においてスクラムマスターと呼ばれる人たちも同じような役割であるといえます。
彼らは、例えば「スカウティング」や「実験」といった言葉で、リスクに対してオープンな姿勢を表します。人事評価制度についても「成功」「失敗」という尺度だけで評価せずに、自分たちが想定した価値を作り出すために何をしたのかという視点でも評価される必要があります。

つまりイノベーションを起こす組織文化とは、マネジメント方法によって左右されると言っても過言ではありません。

2)小規模から始めてみる

初期段階ではイノベーティブなテーマに対する実験や検証の範囲を小さくして進めることが大切です。これはリスクに対する許容を促し、より革新的な考え方やアイデアを呼び起こします。アジャイル開発においても小さく始めるという言葉があり、小規模なチーム、小規模な範囲でイノベーション活動を開始して、徐々に大きくしていくことが大切です。そして実験や検証を行った結果をオープンにすることも必要になります。成果を他人に認められることはイノベーション文化の醸成には必要不可欠となります。

3)プロジェクトへの投資に基準を設ける

イノベーション活動プロセスでいうと「ソリューションの開発」「ソリューションの導入」という段階ですが、本記事ではプロジェクトという呼び名で説明します。プロジェクトに投資する際は、フェーズごとに明確な基準を設定しましょう。各フェーズをマイルストーンとして利用し、一つのフェーズが成功すれば、次のフェーズへの投資が行われます。

4)継続的に価値を維持するための活動

新しいアイデアを商品や製品に発展させた後も、継続的にイノベーションによる開発を続ける必要があります。これを怠った場合、競合他社に追い抜かれる可能性が高くなります。財政的なリスク回避という視点もありますが、ビジネス的なポジション争いという視点も忘れてはいけません。

イノベーション活動は、予測できない市場変化を敏感に察知し、素早く対応できる俊敏性(アジリティ)を組織にもたらします。イノベーション活動を本業として認知せずに単なる副業的な活動として考えてしまうとイノベーションに取り組む競合他社に追い抜かれる可能性が高くなります。

5)利用可能な外部リソースを活用する

冒頭にアクセラレーターの説明をしましたが、新規事業に取り組む場合、「人的リソース」「知識と経験」「成功率の高い方法論」「資金」など、すべてを揃えることが難しい場合があります。当社では必要な時に協力をお願いすることができるベンダーディレクトリを構築していますが、それでもディレクトリに情報が蓄積されないとリソース調達が困難になります。

リソースの課題解決に即効性があるのが株式会社Relicのようなアクセラレーターの存在です。アクセラレーターは、多くの知識・経験、リソース、方法論を有しているため新規事業を成長軌道にのせることができる可能性が高くなります。

または株式会社ユーザーベースUNIDGEというオープンイノベーションを伴走するサービスを利用してもよいかもしれません。株式会社Relicでも同じようなサービスを提供しているようです。

イノベーション活動を行うには協力者のリソースを把握する仕組みも必要な要素です。それを実現するための仕組みを構築する。またはポジティブな意味で丸投げできる外部協力者に相談してみるのも良い方法かもしれません。

 

リスクを恐れずにイノベーションを始めましょう!

これらの 5 つの要素を意識することで、既存事業への影響を考慮した保守的なビジネス組織から一歩抜け出し、新しい価値を創出するイノベーションを上手く組み合わせて、ビジネスの成長を促す文化を醸成することが可能です。

これらの具体的な方法論を知りたくなったなどの興味を持たれたのであれば、ぜひシステムコンシェルジュに相談してみてください。


イノベーション・マネジメントシステム(IMS)に関するご相談

株式会社システムコンシェルジュは、イノベーション・マネジメントシステムに関するツール導入や活用方法などをお客様にサービス提供しています。

ご相談はこちら
  • SHARE
  • line

この記事の監修者

INNOVATION WORLD 編集部

株式会社システムコンシェルジュが運営するオウンドメディア「イノベーションワールド」の編集チームです。皆さまのお困りごとを解決する私たちの取り組みなどをご案内いたします。

  • twitter
  • instagram
  • facebook

Related Post関連記事

chushokigyo-innovation
  • 特集記事

中堅・中小企業のイノベーションへの挑戦と成果について

少子高齢化やデジタル化、グローバル競争の激化など、変化の激しい経営環境の中で、中堅・中小企業が持続的成長を実現するには「イノベーション」が不可欠です。本記事では、最新調査データや具体的な成功事例をもとに、なぜ今イノベーションが重要なのか、どのような課題・阻害要因があるのか、そしてイノベーションを組織として実現するためのポイントを分かりやすく解説します。経営者・実務担当者の方必見の内容です。

INNOVATION WORLD 編集部

中堅・中小企業のイノベーションへの挑戦と成果について
事業継承の成功のために
  • 特集記事

”個の経営”から”組織の経営”へ|IMSによる事業継承の仕組み

「事業承継がうまくいかない」「後継者が育たない」そんな悩みを抱える中小企業経営者の方へ。属人化した経営から脱却し、組織として知見を継承する仕組みが今、求められています。本記事では、国際標準「ISO56001」に基づくイノベーション・マネジメントシステム(IMS)を活用し、持続可能な経営を実現する方法を解説します。経営の見える化と再現性のある意思決定を可能にするIMSの力を、ぜひご覧ください。

INNOVATION WORLD 編集部

”個の経営”から”組織の経営”へ|IMSによる事業継承の仕組み
オープンソースの精神
  • 特集記事

オープンソースの精神と日本企業のビジネス展開に潜む危機感と未来への提言

オープンソースは技術としては普及していますが、その精神はどれだけ日本企業に浸透しているのでしょうか?この記事では、オープンソースの精神と資本主義のバランスに注目し、日本企業がどのようにオープンソースの理念を取り入れるべきか、そしてそれがビジネスや社会に与える影響について考察します。企業文化の閉鎖性や協力の重要性をテーマに、日本社会における真のイノベーションの実現に向けた提言を行います。

INNOVATION WORLD 編集部

オープンソースの精神と日本企業のビジネス展開に潜む危機感と未来への提言
イノベーションを成功させる鍵
  • 特集記事

効果的な情報収集がイノベーションを成功させる鍵

間違ったイノベーション方法を行うことはビジネス組織にとって大きな脅威となります。正しいイノベーションを行うには多くの情報収集(点)を集めることが重要です。情報(点)を集めるための方法の一例を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

効果的な情報収集がイノベーションを成功させる鍵
リモートワーク・フレックスタイム・グローバルな人材の協働
  • 特集記事

変化をチャンスに変える働き方改革──イノベーションの土台づくり

働き方改革を単なる労働環境の改善ではなく、イノベーション創出の基盤と位置づけ、その関係性を解説します。柔軟な働き方や多様性の促進、心理的安全性の向上が組織と個人の創造性を高め、新たな価値を生み出す環境づくりにどのように貢献するかを、具体的な事例を交えて紹介しています。

INNOVATION WORLD 編集部

変化をチャンスに変える働き方改革──イノベーションの土台づくり
oss_innovation
  • 特集記事

コラボレーションで生まれる革新:OSSのメリットとコラボレーションの力

オープンソースソフトウェア(OSS)は、コスト削減やカスタマイズの柔軟性、セキュリティの向上など、企業に多くのメリットを提供します。OSSの公開されたソースコードは、迅速なバグ修正や機能追加を可能にし、コミュニティの協力によってイノベーションを加速させます。

INNOVATION WORLD 編集部

コラボレーションで生まれる革新:OSSのメリットとコラボレーションの力

Recent Posts新着記事

  • イベント・セミナー

5月13日セミナー開催|情報システム部門、DX部門が押さえるべき 生成AIによるプロジェクト管理・ナレッジ活用の実践ポイント

2026年5月13日開催|情報システム部門やDX部門では、複数のツールやファイルに情報が分散し、必要なナレッジをすぐに活用できない課題が少なくありません。本セミナーでは、生成AIを活用してプロジェクト管理情報とナレッジを横断的に整理・分析し、業務効率化と生産性向上を実現する方法を解説。問い合わせ対応の迅速化や過去知見の再活用、プロジェクト推進力の強化につながる実践ポイントを紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

5月13日セミナー開催|情報システム部門、DX部門が押さえるべき 生成AIによるプロジェクト管理・ナレッジ活用の実践ポイント
  • イベント・セミナー

【4月22日特別座談会】|ISO56001認証取得の先駆者が語る 「イノベーションを仕組みにする」―組織変革、実践のリアルと葛藤―

ISO56001認証取得はどのように進むのか。先駆企業が集まり、成功事例だけでなく社内の抵抗や既存事業との摩擦、審査での指摘、運用負荷など“リアルな壁”とその乗り越え方を率直に語るオンライン座談会です。業種・規模の異なる視点から、イノベーションを仕組みとして定着させるための具体的なヒントや実践知を短時間で得られます。ISO56001導入や認証取得を検討する企業必見の内容です。

INNOVATION WORLD 編集部

【4月22日特別座談会】|ISO56001認証取得の先駆者が語る 「イノベーションを仕組みにする」―組織変革、実践のリアルと葛藤―
  • イベント・セミナー

【開催終了】3月10日セミナー|【中小企業経営者向け】自社のイノベーション文化、根づいていますか? ~ 挑戦を後押ししている“つもり”になっていないか。組織が変わらない“本当の理由”を特定する ~

【開催終了】3月10日セミナー|イノベーション組織の成熟度を定量的に診断する「イノベーション組織サーベイ」を紹介します。イノベーションを阻害している要因はどこにあるのかを構造的に可視化し、自社の現在地を客観的に把握。感覚や経験則に頼らず、データに基づいて組織課題を整理し、取るべき次の一手を検討するための視点を提示します。

INNOVATION WORLD 編集部

【開催終了】3月10日セミナー|【中小企業経営者向け】自社のイノベーション文化、根づいていますか? ~ 挑戦を後押ししている“つもり”になっていないか。組織が変わらない“本当の理由”を特定する ~
  • 特集記事

個人の力量を“組織の成果”に変える:ISO56001でつくる変革のマネジメントシステム

組織変革を進める際、「人を育てる」「意識を変える」といった施策に偏ってしまうケースは少なくありません。しかし、個人の力量に依存したままでは、成果は安定せず、組織としての成長にも限界があります。組織を本質的に変えるために必要なのは、成果が生まれる前提となる「仕組み」の設計です。本記事では、ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)を軸に、個人の力を組織の成果へと転換するために、経営がどのようなマネジメントの設計を行うべきかを整理し、実践の方向性を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

個人の力量を“組織の成果”に変える:ISO56001でつくる変革のマネジメントシステム
  • 特集記事

ISO 56001(イノベーション・マネジメントシステム):規模別の効能

イノベーションは、もはや個人のひらめきや偶発的な成功に委ねるものではありません。企業が不確実性の高い環境下で成長を続けるためには、挑戦と学習を組織的に回し、再現性あるイノベーションを生み出す「経営能力」として確立することが求められます。ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)は、そのための国際的な枠組みです。本記事では、企業規模ごとに異なる経営課題を踏まえながら、ISO56001がどのように意思決定力や資源配分、学習の仕組みに作用し、イノベーションの質と成功確率を高めるのかを解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

ISO 56001(イノベーション・マネジメントシステム):規模別の効能
  • 特集記事

イノベーションの成功率と質を向上させる『バイアスの是正』という経営課題

イノベーションの失敗は、アイデア不足ではなく「判断の歪み」から生じることが少なくありません。確証バイアスや成功体験への過度な依存など、無意識のバイアスは意思決定の質を下げ、成功率を大きく左右します。本記事では、イノベーションの成功率と質を同時に高めるために必要なバイアス是正の考え方を整理し、ISO56001を軸に組織として再現性ある仕組みへ落とし込む方法を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

イノベーションの成功率と質を向上させる『バイアスの是正』という経営課題