イノベーション責任者は情報(点)収集する仕組みを考える
以前の記事「経営と現場との乖離を取り除くイノベーション組織」で、組織が成長をするとトップマネジメント側の視野が狭くなり、現場との乖離が発生し、従業員エンゲージントが著しく低下することを説明しました。
ひとりの人間が把握できる情報には限界があるため、トップマネジメント側に位置する最高イノベーション責任者(CINO)またはイノベーションリーダーは、社会、経済、株主、法律、特許、従業員や顧客、取引先などからの情報把握をどのように行うのかを考えなければなりません。
なぜ情報収集と把握が大事なのかを、グローバル・イノベーション・マネジメント研究所(Global Innovation Management Institute:GIMI)の方法論の一部を紹介します。
成功するイノベーションの源泉は多くの情報(点)である
グローバル・イノベーション・マネジメント研究所の方法論では、ビジネス組織の経営理念やミッション・ビジョン・バリューは目指す方向や目指す価値と捉え、トップマネジメント側の視点や考えも1つの情報(点)と捉えます。つまりトップマネジメント側の視点や考えだけで具体化されたビジネスの成功率は低い場合があります。社会、経済、株主、法律、特許、従業員や顧客、取引先などから多くの情報(点)を収集することで、価値創出の絵が浮かび上がります。
情報(点)が少ない状態で立案してしまったビジネスプランは、後々ビジネス組織に大きな脅威を与える可能性が高くなります。このことは、以前にも「確証バイアスを抑制する仕組みでビジネスリスクを軽減させる」で解説をしました。情報(点)できる限り多く収集し、考えたアイデアを素早くコンセプトに変換させ検証することが大切です。
イノベーションには失敗を許容することは大切ですが、誤ったイノベーション方法で実行してしまった場合、イノベーションと呼ぶことはできなくなります。「失敗してもよいからとりあえずやってみよう」という考えが先行してしまうのは危険な考えとなりますので、正しいイノベーション方法論を知り、仕組みを作り上げてください。
効果的な情報収集の方法
トップマネジメント側は、ビジネスや組織状態を把握するために従業員から気軽に話しかけてくれるようになってほしいと思っていることが多いと考えられます。そのような組織や従業員であってほしいと願う気持ちや理想は大変よくわかります。しかし現実はピラミッド型組織や人事評価制度における評価者と被評価者の関係である以上、気軽に話しかけてくれる(=情報インプット)従業員は多くありません。これらの障壁を排除するためには、いくつかの方法があり、これらを継続することで理想に近づくことができると考えています。
発言をしやすい環境を作る
イノベーションアンバサダーの任命
各部門やチームにイノベーションアンバサダーという情報収集担当を任命します。
この任命には、組織の状態にもよりますが、以前の記事「イノベーションリーダーに必要な5つのスキル」で説明した「発想・創造的」もしくは「感情・直感的」の思考タイプのメンバーを選出すると多くの情報が収集できる可能性が高いと考えてください。
イノベーションアンバサダーには人事評価制度における評価者を選出するのは好ましくありません。あくまでも中立な立場のメンバーを選出する必要があります。
メタバース空間によるディスカッション
メタバース空間では、会議のおける発言率が2倍以上になると言われています。メタバース空間の中では上司も部下の関係なく中立な立場で意見交換できるように心がけてください。
人工知能(AI)によるファシリテーター
会議のファシリテートを人工知能(AI)が行った場合、人工知能(AI)は中立な立場ですので発言が増加します。人間が行った場合。過去の発言や行動などからバイアスが発生してしまう場合があり、本人にその気持ちがなくても相手を傷つけてしまう可能性がでてきます。
人工知能(AI)がファシリテートした場合は、このようなことがなく、メンバーからの発言が多くなる傾向があります。
第三者によるアイデアソンなどのイベントを開催する
イベント開催は、明示的に機会を与えることができ、意識を高揚させることができるため発言率が高くなる傾向があります。
海外の事例においても組織内のアイデアソンを行い、イノベーション管理ツールにアイデアを登録する数を競う事例があるようです。
ここでも中立性を保つために、外部のアイデアソンを開催するサービスなどを活用することをお薦めします。
サービス例:株式会社フロッグポッドのハッカソン・アイディアソンサービス
情報収集の対象階層を考慮する
下図のように、ピラミッド型組織では、組織階層ごとに見える景色も異なるため、当然ながら入手できる情報や情報の捉え方も、他の階層とは異なる場合があります。
そのため、社会、経済、株主、法律、特許、従業員や顧客、取引先などからの情報把握に加えて、情報元を階層ごと分けて考える必要があります。
テーマを決める
情報収集やアイデア出しに重要なのは、必ずテーマを設定することです。ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の認証審査においても対象となる事業範囲を定義する必要があります。過去の経験からも曖昧な状態で「情報を出してほしい」「アイデアを出してほしい」と伝えても、適切な情報やアイデアが出てこない場合が多いです。必ずテーマ設定、課題設定を行ってから情報収集やアイデア出しを行うようにしてください。
まとめ
これまで述べたように、情報を多面的に捉え、できる限り多くの情報(点)を入手することで、成功率が高いイノベーションの仕組みを構築することが可能になります。これは継続的に価値を維持・向上させるための仕組みにもつながります。
株式会社システムコンシェルジュでは、今回述べたような仕組みをツールを活用して実現することが可能です。国際的なイノベーションの方法論(ISO56002)やグローバルイノベーションマネジメント研究所のイノベーション人材育成プログラム、業界標準のイノベーション管理ツール「IdeaScale(アイデアスケール)」の3つの要素により、イノベーション組織の醸成を行うことができます。
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