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ビジネスのアジリティを最速化するISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)とは

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 23.08.11

日本と米国のイノベーションに関する動き

日本社会では、イノベーション活動の仕組みによって、すばやい価値創造と創出を行うことが重要事項となっています。

日本の各省庁も数年前からイノベーションの必要性を説明しています。

経済産業省 日本企業におけるイノベーション創出に向けた経営について
国土交通省 我が国を取り巻く環境と社会経済状況
総務省 平成22年版 情報通信白書-ICTの利活用による持続的な成長の実現

米国では、2009年9月21日にオバマ大統領から「米国イノベーション戦略」が発表されました。

この戦略は、以下の3つの領域となっています。

  1. 米国イノベーションの基盤に対する投資
    基礎研究における米国のリーダーシップの回復、次世代に21 世紀の知識と技能の教育を通じた国際的に通用する労働力の養成、先端的な社会基盤の構築、先端的 ITエコシステムの開発が提示されています。

  2. 生産的な起業家精神を活性化する競争的市場 の促進
    輸出の促進、最も将来性のあるアイディアに資源配分する開放的な資本市場の支援、高い成長とイ ノベーションを基盤とする起業家精神の奨励、公的セクターのイノベーション改善と地域イノベーションの支援が提示されています。

  3. 国家重点目標を達成するためのブレークスルー の加速
    クリーン・エネルギー革命の促進、先端的自 動車技術の支援、健康医療におけるIT のイノベーシ ョン推進、21 世紀の「偉大な挑戦(グランドチャレン ジ)」にふさわしい科学技術の活用が提示されています。

この政策はバイデン大統領となった現在でも継続されており、ホワイトハウス科学技術局(OSTP)より公開されています。
科学技術政策室 |ホワイトハウス (whitehouse.gov)


そして、ここから生まれた多くのイノベーションの成功例をベストプラクティスとして纏めたものが『ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)』となります。

ISO56002(イノベーション マネジメントシステム)とは

ISO56002とは、イノベーションに成功した企業の事例などをもとに、イノベーションのための推奨事項が盛り込まれたベストプラクティスです。

2023年6月時点は「ガイダンス規格」となっており、現在2024年秋頃にはISO27001やISO9001と並ぶマネジメント規格へ昇格の準備が行われています。

イノベーション マネジメントシステムの8つの原則

この規格は、イノベーション・マネジメントの 8 つの原則に基づいており、組織内で一体化して適応することが求められる。

  1. 価値の実現
  2. 未来志向のリーダー
  3. 戦略的な方向性
  4. 組織文化
  5. 洞察の追求
  6. 不確実性のマネジメント
  7. 柔軟性
  8. システムアプローチ

ISO56002(イノベーション マネジメントシステム)の構成要素(概念図)

イノベーション・マネジメントシステム(以下、IMS)は、価値の創造と創出を目的とした相互に関連・作用する要素を集めた集合体です。このIMSは、組織におけるイノベーション機能を担い、全体を仕組み化させ、パフォーマンスの評価まで行うことができます。

構成要素については、IMSコンパス(図.1)に記載されています。IMSを実施するために組織やビジネスの状況や環境に従って、それぞれの要素を段階的に導入することが可能です。

(図.1 IMSコンパス)
出典:一般社団法人 Japan Innovation Network(JIN)

ISO56002(イノベーション マネジメントシステム)を実現させる12の支援体制

ISO56002を実現させるためには、経営リーダーは12要素の支援体制を確立させ、必要な経営資源を的確なタイミングで決定し、提供することが望ましい。

1.人材 イノベーション活動を行うにあたり、多様な人材を確保することが望ましい。
また金銭面以外のインセンティブなど、活動を担う人材がイノベーション活動を行いやすくする仕組みや配慮が必要になります。
当然ながら人材を育成する教育を提供することも重要です。
2.時間 イノベーション活動の時間の確保を行ってください。
本業が忙しくなったからイノベーション活動ができなかったというのでは、IMSを継続させることはできないと考えてください。
例として全体工数の15%はイノベーション活動の時間として確保することが望ましい。(15%ルール)
3.知識 成功体験、失敗体験や情報収集方法など、知識や経験を蓄積したナレッジを、必要な時に確認できるようにすることが望ましい。(例としてSECIモデルなど)
4.財務 財務面には2つの側面があります。
1)発生した変化が財務に、短期的、中期的に影響する
2)イノベーション活動における投資コスト(金銭面、工数面など)
これらを踏まえて、財務への影響を考えることが望ましい。
5.インフラストラクチャ イノベーション活動を行うにあたり、活動の場所を確保することが望ましい。
これはオフィスだったり、組織だったり、議論するための時間だったり、そのような活動を支援するためのインフラストラクチャを意味します。
6.力量 イノベーション活動を行うにあたり、必要なスキルや経験・能力を定義する必要がある。
例として、タレントマネジメントシステムなどで、力量のある人材を選定しチーム編成するなど
「1.人財」と相互関係にある。
7.認識 イノベーションのビジョン、方針、戦略などに対する共通の認識を決め、浸透させること。
イノベーション活動を認識し、理解され、全員参加型でなければならない。
イノベーション活動は、必ずしも成果を出せる活動ではないため、それを周囲に理解してもらう必要がある。それに、イノベーション活動に関心をもたない組織メンバーも中にはいるかもしれないが、認知だけはしてもらうことが望ましい。
8.コミュニケーション 「7.認識」と相互関係になる要素です。認識させるためにはコミュニケーションは重要になります。イノベーションの意図を浸透させる。活動を支えるコミュニケーションなど、円滑にコミュニケーションできることが望ましい
9.文書化した情報 イノベーション活動が組織として公式な活動であること、活動の目的、ルールや規定などが文書として定義・作成され、それを認識させることが重要です。
10.ツールおよび方法 方法としては「ビジネスモデルキャンパス」「リーン思考」「デザイン思考」「シナリオプランニング」などの方法を取り入れ、ツールは、
イノベーション管理ツール、プロジェクト管理ツール、ナレッジ管理ツールなどもが該当します。
それらを準備、利用することが望ましい。
11.戦略的インテリジェンスのマネジメント イノベーション活動を継続できるように、戦略的なプロセスを明確化し、運営をマネジメントする手法などを定義し、実行することが望ましい。
12.知的財産のマネージメント イノベーション活動によって、生まれたアイデアや成果物などの知的財産の権利の所在や登録・保護などを行うためのマネージメントする手法などを定義し、実行することが望ましい。

ISO56002(イノベーション マネジメントシステム)に適応可能なツール

前述の概念図(図.1 イノベーション・マネジメントシステム概念図)をもとに適用可能なツールをご紹介します。

1.イノベーション管理ツール
イノベーション管理ツールは「機会の特定」「コンセプトの創造」「コンセプトの検証」の領域を担います。

代表的なイノベーション管理ツールを以下に記載します。

オバマ大統領の「米国イノベーション戦略」によって生まれ、米国の政府機関や民間企業など数多く導入されています。日本でもイノベーションを推進する先進的な企業に数多くの導入実績があります。

2.プロジェクト管理ツール
「ソリューションの開発」「ソリューションの導入」を担います。

代表的なプロジェクト管理ツールを以下に記載します。

  • Microsoft Project
  • ONES Project
  • Notion
  • Asana
  • Jira Software
  • Trello

3.ナレッジ管理ツール
「支援体制」の「知識」や「文書化した情報」を担います。

代表的なナレッジ管理ツールを以下に記載します。

  • Microsoft SharePoint
  • ONES Wiki
  • Notion
  • Confluence

4.ビジネス・インテリジェンス(BI)ツール
「パフォーマンスの評価」を担います。

代表的なビジネス・インテリジェンス(BI)ツールを以下に記載します。

  • Microsoft Power BI
  • Tableau

5.コミュニケーションツール
「支援体制」の「認知」「コミュニケーション」を担います。

代表的なコミュニケーションツールを以下に記載します。

  • Microsoft Teams
  • Slack

ISO56002(イノベーション・マネージメントシステム)を継続的に運用するためには、ツールおよび手法を明確に定義することが大切であり、ツール同士は連携する必要があります。


まとめ

繰り返しになりますが、現時点ではISO56002(イノベーション・マネージメントシステム)は「ガイダンス認証」となっていますが、2024年秋頃に予定されるマネジメント規格への昇格が行われると、多くの日本企業が認証取得の行動を始めると予想されています。

重要なのは、ISO56002の目的は、継続的な価値の創造と創出を通じたイノベーション活動です。ただ単にISO56002の認証を取得したり、ツールを導入したりするだけでは、イノベーションの目的を達成することはできません。そのため、ISO56002(イノベーション・マネージメントシステム)や関連ツールについて知識や経験を持つパートナーに相談することで具体的なイメージを得ることができます。

株式会社システムコンシェルジュでは、このイノベーションの仕組みを最短3ヶ月で構築した経験をもっており、必要な文書規定類やマニュアル類、ツールを活用したイノベーション活動プロセスへの実装、力量定義の教育カリキュラムの策定などを支援することができます。

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この記事の監修者

INNOVATION WORLD 編集部

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