• 特集記事

イノベーションに関する主要な職種と力量(イノベーションスペシャリスト編)

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 24.01.23
2022年:主要な職種 ~イノベーションスペシャリスト編~

概要:イノベーションが起こせない組織では、現在はうまくいっている既存のビジネスでも競合他社に遅れをとるリスクがあります。イノベーションを成功させるには、実行可能な戦略が必要です。近年、市場の需要を反映して、イノベーション専門の部門や職種が増加しています。これらの職種は、新しいアイデアや取り組みを市場に適応させるための重要な役割を担っています。

なぜイノベーションのスペシャリストが必要なのか?

イノベーションのスペシャリストが必要とされる理由は、技術の進歩と市場ニーズの変化が速いためです。

経営幹部からエンジニアに至るまで、組織内の各レベルでイノベーション専門家の重要性が増しています。組織は、新しい技術の導入や新たな課題への対応といったイノベーション活動を進めるために、プログラムの試験運用、機器のテスト、提案の収集、データ分析などを専門的に行えるフルタイムの専門家を必要としています。

イノベーションコンサルタント

イノベーションコンサルタントは、契約期間のある独立した請負業者であることが一般的です。イノベーションコンサルタントは、クライアント企業がイノベーションの目標を策定および計画するのを支援します。イノベーションの組織・文化の醸成を支援したり、現在の目標を再調整する戦略と事業計画を構築します。イノベーション文化、アイデア出しプロセス、および機会の特定についてアドバイスします。
イノベーションコンサルタントの職業の年収は、約97,000ドル(約1450万円)から150,000ドル(約2250万円)を稼いでいると言われています。

最高イノベーション責任者(Chief Innovation Officer:CINO)

最高イノベーション責任者(Chief Innovation Officer:CINO)は、ビジネス組織や会社組織のイノベーション戦略を指揮する重要な役職です。彼らはイノベーションを阻害する要因と取り除き、方法論や手法の定着や改善、創造的思考を促進し、イノベーションに関わる様々な活動を支援および管理します。これには市場調査、社内トレーニング、新製品開発のサポート、新市場の特定、革新的なプラットフォームの導入、有望なプロジェクトへの資金提供などが含まれます。
欧州戦略的イノベーションセンターのCEO、Alessandro Di Fiore(アレッサンドロ・ディ・フィオーリ氏)は、最高イノベーション責任者における7つの重要な役割を以下のように挙げています。

  1. 斬新なアイデアや洞察を得るために市場調査のベストプラクティスをサポートし、創造的思考を促進するプロセスを導入する
  2. イノベーションを追求するために必要な主要なスキルについて企業担当者をトレーニングする
  3. 新しい製品やサービスの取り組みをサポートし、その取り組みをサポートする方法についてマネージャーをトレーニングする
  4. 新しい市場やビジネスの機会を特定する
  5. アイデアソン、ハッカソンやクラウドソーシングなどのアイデア創出の仕組みやITプラットフォームや実践方法を主導的に導入
  6. 資金を、価値を創出する優れたアイデアに振り向ける
  7. 有望なプロジェクトへのリソースの割り当てとサポート

これらはISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)でも提唱されているため、最高イノベーション責任者となる職種ではISO56002の知識をもつことは必須となります。

最高イノベーション責任者の年収は、約 180,000 ドル(約2700万円)程度と言われています。

イノベーション エンジニア

イノベーション エンジニアは、イノベーション活動を行う上で最も重要な役割です。彼らは革新的なアイデアを創出する活動のなかでエンジニア視点でのアプローチを担います。そしてアイデアがコンセプトに変わるとソリューション開発の段階となりますが、その際の役割はソリューション開発のプロジェクト運営、ソリューション開発中の問題解決を行い、プロトタイプの開発、テスト、サービスと社内イニシアチブの設計に至るまで幅広い業務を担当します。

これらの要素は、イノベーションとプロジェクト管理の力量を保有し、技術知識と開発経験をもつエンジニアが担当となります。

イノベーション エンジニアの上位職種として、最高技術イノベーション責任者(CTIO)という職種があります。

イノベーション エンジニアの年収は、 約75,000 ドル(約1125万円)から 90,000 ドル(約1350万円)程度と言われています。

イノベーション・ストラテジスト

イノベーション・ストラテジストは、組織の運営を分析し、健全なイノベーション戦略の開発を担う専門家です。彼らはイノベーションに関するリーダーシップを発揮し、PoC(概念実証)やアイデアの試験運用、テスト、実装の監督を行います。また、リスク管理や経営幹部、ベンダーとの協力も行う役割があります。多くは経営管理の学位と部門横断的なチーム管理の経験を持っています。

イノベーション・ストラテジストの年収は、約62,000ドル(約930万円)程度と言われています。

役職

概要

主たる業務

年収

イノベーションコンサルタント

  • 独立請負業者として企業に短期間雇われる
  • 特に中小企業や段階的イノベーションに取り組む業界に適している

クライアント企業へ以下を提供する

  • イノベーション目標の策定や計画
  • イノベーション文化の構築
  • ビジネスプランの作成
  • 市場特定などのアドバイス

約 97,000 ドル(約1450万円)~150,000 ドル(約2250万円)程度

最高イノベーション責任者

  • 社内のイノベーション戦略を主導する経営トップ

イノベーションに関わる多岐にわたる活動を担う

  • イノベーションを阻害する可能性のあるアプローチを見直す
  • 創造的思考を促進
  • 市場調査や社内トレーニング
  • 新製品開発のサポート
  • 新市場の特定
  • プラットフォーム導入
  • 革新的なプロジェクトへの資金提供

約 180,000 ドル(約2700万円)程度

イノベーション エンジニア

  • イノベーション活動を行う上で最も重要な役割

幅広い業務を担当

  • 革新的なアイデアの開発
  • プロジェクトの加速
  • イノベーション実施中の問題解決に専念
  • 製品の開発からプロトタイプの構築
  • テスト
  • サービスと社内イニシアチブの設計

約 75,000 ドル(約1125万円)~ 90,000 ドル(約1350万円)程度

イノベーション・ストラテジスト

  • 組織の分析スキルを活用して運営を評価する
  • 健全なイノベーション戦略を開発する役割
  • 経営管理の学位と部門横断的なチーム管理の経験者

イノベーションリーダーシップを発揮し以下を担当

  • アイデアの試験運用
  • テスト
  • 実装を監督
  • リスク管理
  • 経営幹部やベンダーと協力・調整

約 62,000 ドル(約930万円)程度

各職種の共通知識と必要な力量

各職種の共通知識は、国際標準規格のISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の知識を保有することが重要です。これまでの日本組織は独自の手法を作り、独自の強みを追求しがちですが、それはITシステムに例えるとフルスクラッチで開発した業務システムのように変化に素早く対応することができなくなります。パッケージソフトを導入して適合しないギャップ部分のみをカスタマイズすることが望ましいといえます。

またISO56002を知ることは、イノベーション組織内の共通言語としてコミュニケーションがスムーズになり、イノベーションの促進にもつながります。

2024年1月22日にわかりやすいISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の書籍が出版されておりますので、ご参考ください。


イノベーション・マネジメントシステム(IMS)に関するご相談

株式会社システムコンシェルジュは、イノベーション・マネジメントシステムに関するツール導入や活用方法などをお客様にサービス提供しています。

ご相談はこちら
  • SHARE
  • line

この記事の監修者

INNOVATION WORLD 編集部

株式会社システムコンシェルジュが運営するオウンドメディア「イノベーションワールド」の編集チームです。皆さまのお困りごとを解決する私たちの取り組みなどをご案内いたします。

  • twitter
  • instagram
  • facebook

Related Post関連記事

イノベーションを阻む管理職(マネージャー)の特徴
  • 特集記事

イノベーションを阻む管理職(マネージャー)の特徴

イノベーションを阻む要因とは何か?本記事では、組織の成長を妨げる管理職の特徴に焦点を当て、その影響と解決策を探ります。自信のないマネージャーによる失敗への恐怖やリスク回避、変化への抵抗、そして過度なマイクロマネジメントがどのように創造性を制限し、イノベーションを停滞させるかを解説。企業が持続的な競争力を維持するために必要なリーダーシップと文化の変革についても考察しています。

INNOVATION WORLD 編集部

イノベーションを阻む管理職(マネージャー)の特徴
value-structure
  • 特集記事

「価値」の構造化で本当の価値あるサービスを提供する方法

「価値は提供しているはずなのに、なぜ響かないのか?」――今、顧客や社会が本当に求める価値と、組織が届けている価値との間にギャップが広がっています。ISO56001の視点から価値を構造的に捉え、再現性あるサービス設計と経営判断を実現するヒントを紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

「価値」の構造化で本当の価値あるサービスを提供する方法
  • 特集記事

なぜ日本企業は「ツールを入れれば変わる」と考えてしまうのか 〜「仕組み化」の誤解が、DXとイノベーションの成果を阻む理由〜

多くの企業では、ツールや制度を導入しただけで仕組み化ができたと誤解してしまうことがあります。本記事では、ISO 56001の視点から、ツール導入を成果と誤認してしまう問題を整理し、目的・プロセス・役割・判断基準・評価をつなげて、DXやイノベーションを成果につなげる仕組み化の考え方を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

なぜ日本企業は「ツールを入れれば変わる」と考えてしまうのか 〜「仕組み化」の誤解が、DXとイノベーションの成果を阻む理由〜
ビジネスイノベーションとは? 定義、要素、タイプ、戦略のベスト プラクティス
  • 特集記事

AIとイノベーションの融合:アイデアの提出とキャンペーン作成の変革

AI技術を用いてイノベーションプロセスをどのように変革できるかを解説します。AIの活用によって、アイデア提案およびキャンペーン作成がどのように効率化され、創造性が向上するのかを具体例とともに解説します。イノベーション活動におけるAIの役割とその利点を探ります。

INNOVATION WORLD 編集部

AIとイノベーションの融合:アイデアの提出とキャンペーン作成の変革
  • 特集記事

日本企業の成長を止める「リーダーの善意ある権限集中」と、ISO 56001による組織変革

「責任を持つから自分が決める」というリーダーの考え方は、一見すると責任感の表れに見えます。しかし、権限が一部のリーダーに集中すると、現場の判断力や挑戦意欲が失われ、組織の成長力を弱めることがあります。本記事では、ISO 56001の視点から、権限集中を見直し、現場が判断・検証・学習できる仕組みづくりを解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

日本企業の成長を止める「リーダーの善意ある権限集中」と、ISO 56001による組織変革
  • 特集記事

「失敗回避」から「学習加速」へ──若手の期待とISOが導くマネジメント転換

若手は「経験密度・自律性・社会的意義」を求め、旧来組織は「安定・失敗回避」を重んじる――このズレは離職や停滞の火種です。世界の規格は今、失敗を学習資産へ変える方向へ。ISO 56001/56002やAIのISO/IEC 42001を手掛かりに、失敗を恐れず学びを加速する組織設計を具体策で解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

「失敗回避」から「学習加速」へ──若手の期待とISOが導くマネジメント転換

Recent Posts新着記事

  • 特集記事

事業の寿命が縮む時代、企業は何を変えるべきか ――「事業を運営する組織」から「事業を変化させる組織」へ

一つの成功モデルが通用する期間が短くなる中、企業には既存事業を安定して運営する力に加えて、環境の変化に応じて事業を更新する力が求められます。本記事では、中小企業の「余白不足」、大企業の「組織の重さ」という課題を整理し、ISO 56001をもとに、変化を捉え、計画し、実行・評価・改善するための仕組みを紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

事業の寿命が縮む時代、企業は何を変えるべきか ――「事業を運営する組織」から「事業を変化させる組織」へ
  • イベント・セミナー

10月6日セミナー開催|ここでしか学べない! ISO56001のリアル実践 ノウハウ公開セミナー

10月6日セミナー開催|ISO 56001の実践でつまずきやすい、戦略・方針を目標、活動計画、ポートフォリオへ落とし込む具体的な方法を解説。さらに、大企業から中小規模の組織まで、規模に応じたイノベーションの進め方も紹介。ISO 56001を学ぶだけでなく、実際の活動につなげたい方におすすめの内容です。

INNOVATION WORLD 編集部

10月6日セミナー開催|ここでしか学べない! ISO56001のリアル実践 ノウハウ公開セミナー
  • 特集記事

いまこそ求められる「新しいECM」――AI時代、日本企業の競争力を左右する「企業知識の統合」

生成AIの活用が進む一方、企業内に分散した情報や知識の品質が新たな課題となっています。本記事では、ECMを単なる文書管理ではなく「企業知識基盤」として捉え直し、情報・知識を統合してAIが活用できる状態を整え、ナレッジ管理やイノベーション・マネジメントを通じて価値創出につなげる考え方を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

いまこそ求められる「新しいECM」――AI時代、日本企業の競争力を左右する「企業知識の統合」
  • イベント・セミナー

2026年9月11日|「Developers Summit 2026 FUKUOKA」出展のご案内

2026年9月11日|Developers Summit 2026 FUKUOKAに出展します。生成AIにより、プロジェクト情報とナレッジを一気通貫で整理・活用できる「ONES製品」をご紹介します。開発現場に散在する仕様書、議事録、ノウハウ、タスク情報を横断的に検索・活用することで、情報分散や属人化を解消。開発生産性の向上と継続的な知見共有を実現するための活用方法を展示ブースでご紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

2026年9月11日|「Developers Summit 2026 FUKUOKA」出展のご案内
  • 特集記事

なぜ企業の新規事業は「始まるのに、育たない」のか

新規事業が「始まるのに、育たない」背景には、市場の変化よりも社内で承認された計画や手続きが優先されてしまう構造があります。ISO 56001をもとに、計画を仮説として扱う方法、現場の判断範囲、段階的な投資判断、評価の見直しなど、新規事業を成長につなげるための考え方を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

なぜ企業の新規事業は「始まるのに、育たない」のか
  • 特集記事

そのイノベーション活動は、本当に価値実現につながっていますか? 〜社内承認を目的化させず、価値実現につなげる組織設計〜

新規事業やPoC、研修などのイノベーション活動。実施すること自体が目的になっていませんか。本記事では、活動が目的化する背景を整理し、ISO 56001が示す「価値実現」の視点から、成果の捉え方や役員の役割、撤退の評価、研修の活かし方を見直します。イノベーション活動を継続的な成果につなげるための組織設計と実務上のポイントを解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

そのイノベーション活動は、本当に価値実現につながっていますか? 〜社内承認を目的化させず、価値実現につなげる組織設計〜