• ツール活用

イノベーション管理とプロジェクト管理の統合によるエンタープライズアジャイル(SAFe®)への適用

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 25.01.24
「IdeaScale」と「Jira Software」の連携

はじめに

現代のビジネス環境では、迅速な意思決定と組織全体の整合性が成功の鍵を握る重要な要素となっています。しかし、特にエンタープライズ規模の組織においては、アジャイル手法を導入する際に多くの課題が浮かび上がります。その中でも、「アイデアの収集」「評価」「実行」の各プロセスが断片化していることは大きな障壁となります。

アイデアが現場レベルで停滞し、適切に評価されないまま埋もれてしまうことや、実行フェーズへの移行においてスピード感を欠くことが課題となっています。この結果、貴重なイノベーションの種が成果に繋がる前に失われるリスクが高まります。

このような課題を解決する手段として注目されているのが、IdeaScaleとJira Softwareの組み合わせです。IdeaScaleを活用することで、全社的にアイデアを収集し、評価プロセスを効率化することが可能になります。そして、評価されたアイデアをJira Softwareにシームレスに移行することで、SAFe®(Scaled Agile Framework)に基づいた実行フェーズへとスムーズに繋げることができます。

本記事では、この統合プロセスがどのようにエンタープライズアジャイルを推進し、組織全体のイノベーション力を高めるのかを紹介します。


IdeaScaleとJira Softwareの連携の概要

企業が大規模なイノベーションを推進するには、アイデアの収集と評価から実行までを一貫したプロセスとして整えることが重要となります。ここでは、IdeaScaleとJira Softwareの役割を整理し、それぞれがどのように連携することでエンタープライズアジャイルの実現をサポートするかを紹介します。

▶IdeaScaleの役割

IdeaScaleは、組織全体からイノベーションの基になる「種」を発掘するためのプラットフォームです。従業員や顧客、外部パートナーといったステークホルダーから集まる様々な視点を統合し、価値のあるアイデアを効率的に評価する機能を提供します。

IdeaScaleは、日々の業務やプロジェクト活動の中で生まれるアイデアを体系的に集約します。各チームや部門が持つ専門性や現場の知識を反映させることで、組織全体の課題解決能力を向上させます。

IdeaScaleの評価システムでは、アイデアへの投票やフィードバックが可能です。これにより、現場の意見と経営層の視点を統合し、実行可能性の高いアイデアを抽出することが可能となります。これにより、単なるアイデア収集を超えて、具体的なアクションへと繋がる優先順位付けが実現されます。

▶Jira Softwareの役割

Jira Softwareは、アジャイルフレームワークに基づいたプロジェクト管理やタスク管理を行うツールです。IdeaScaleで評価・選別されたアイデアを実行に移す際、そのすべてのプロセスをサポートします。チームレベルの計画やタスク管理を効率化し、ステータスや進行状況の可視化を通じて、迅速な調整を実現することができます。

SAFe®(Scaled Agile Framework)では、エピックフィーチャーといった大規模な課題からユーザーストーリーにブレークダウンするプロセスが重要となります。Jiraは、これらを一元的に管理し、複数のチーム間で整合性を取ることができます。

▶連携の意義

IdeaScaleとJira Softwareを連携することで、イノベーションのサイクルが加速することが可能となります。この連携には以下のメリットがあります。

  1. シームレスなプロセスの移行
    IdeaScaleで収集されたアイデアは、評価プロセスを経た後、シームレスにJiraへ移行できます。この移行により、アイデアを迅速にエピックとして登録し、プロジェクトバックログに統合することができます。
  2. 迅速な計画立案
    Jiraを通じて、SAFe®の原則に従った計画立案がスムーズに行えます。これにより、最も価値のあるアイデアを迅速に市場および現場へ届けることが可能です。
  3. 全社的なアライメント
    連携によって組織全体の方向性が統一され、イノベーションの全体像を把握しながら計画から実行までを一貫して管理できる環境が整います。

IdeaScaleとJira Softwareの連携は、単なるツールの組み合わせを超え、エンタープライズ規模でのイノベーション管理と実行プロセスの最適化を実現します。この連携を通じて、アイデアが単なる「発想」に留まらず、具体的な成果を生み出すプロジェクトへと進化することが可能となります。


Scaled Agile Framework® (SAFe®)への適用

エンタープライズ規模のアジャイル導入を成功させるためには、Scaled Agile Framework® (SAFe®) のような体系化されたフレームワークを導入することでコストを削減することができます。ポートフォリオレベルからチームレベルまで、アジャイルのプラクティスを組織全体に拡張するための包括的なガイドラインを提供します。

▶SAFe®フレームワークの基本原則

SAFe®は、複数のレベルでアジャイルを実現するための枠組みを提供します。特に、次の3つのレベルが重要となります。

  • ポートフォリオ管理
    企業の戦略目標に沿ったエピックの選定やリソース配分を管理します。
  • プログラム管理
    プログラムインクリメント(PI)を計画し、エピックをフィーチャーやタスクに分解して実行します。
  • チームレベルでのアジャイル実践
    スクラムやカンバンといったアジャイル手法を活用し、ユーザーストーリーを開発・デリバリーします。

▶イノベーション管理とアジャイル管理の融合がもたらす価値

イノベーション管理ツール『IdeaScale』とアジャイル管理ツール『Jira Software』を連携させ、SAFe®のフレームワークに統合することで、アイデアから実行までのプロセスがスムーズに連携し、SAFe®の導入効果を最大化することができます。

  • アイデアからエピックへの変換プロセス
    IdeaScaleで収集されたアイデアは、評価や優先順位付けを経てエピックとしてJiraに移行されます。このシームレスな変換プロセスにより、SAFe®のポートフォリオ管理で必要となる大規模な目標が迅速に定義されます。
  • エピックやフィーチャーの詳細化とPIプランニングへの活用
    Jiraでは、エピックを詳細化してフィーチャーやユーザーストーリーに分解します。このデータは、PIプランニングで活用され、全体の計画を効率的に進めることが可能になります。
  • バックログの優先順位と実行の迅速化
    Jiraのバックログ管理機能を通じて、最も価値の高いエピックやフィーチャーにフォーカスした優先順位付けが実現します。これにより、SAFe®のフレームワーク内で迅速かつ効率的に実行を進めることができます。

ワークフロー例:アイデアの収集から実行までのプロセス

IdeaScaleとJira Softwareを活用したイノベーションプロセスは、単なるツールの利用を超え、アイデアの発掘から実行までを一貫してサポートします。ここでは、組織全体のアイデアをどのように収集し、評価し、具体的なアクションへと繋げるかを、SAFe®フレームワークに沿ったワークフローとして紹介します。これにより、イノベーションの流れがどのように効率化され、実現可能な成果へと変わるのかを明確に理解することができます。

▶ステップ1:アイデア収集

最初のステップは、全従業員や関連するステークホルダーからアイデアを収集します。

  • ツール:イノベーション管理ツール『IdeaScale』
  • プロセス:組織全体を対象にしたアイデア募集キャンペーンを展開。テーマや課題を明確に設定し、従業員一人ひとりが自由に提案できる環境を整えます。
  • 効果:部門やチーム間の垣根を超えた多様な視点を収集し、イノベーションの可能性を広げます。

▶ステップ2:アイデアの評価と選別

収集したアイデアを評価・選別し、最も価値の高いものを特定します。

  • ツール: IdeaScaleの投票・コメント機能、アイデアの調整
  • プロセス:
    • アイデアに対する投票を通じて、全ステークホルダーの意見を反映。
    • コメント機能でフィードバックを収集し、アイデアの改善や精査を促進します。
    • 重要度や実行可能性を基準に優先順位を決定します。
  • 効果: 現場の視点と経営層の戦略的視点を融合し、実行可能なアイデアを選別します。

▶ステップ3:アイデアをエピックへ展開

評価を経たアイデアは、Jiraに移行され「Jiraのエピック(SAFe®のフィーチャー)」として登録されます。

  • ツール: Jira Software
  • プロセス:
    • 優先順位付けされたアイデアをJiraのエピックとして登録。
    • Jiraのエピックに必要なリソースや大まかなスコープを定義します。
  • 効果: IdeaScaleで選ばれたアイデアが、迅速にプロジェクトバックログに統合されます。

▶ステップ4:SAFe®フレームワークでの実行

Jiraを活用して、SAFe®フレームワークに基づいた実行計画を進めます。

  • ツール: Jira Software + SAFe®フレームワーク
  • プロセス:
    • SAFe®のエピックをフィーチャーやユーザーストーリーに分解。
    • プログラムインクリメント(PI)プランニングで各チームのスケジュールに統合。
    • 各チームがユーザーストーリーに基づいて実行・開発を行います。
  • 効果:
    • 全社的な整合性を保ちながら、迅速なプロジェクト実行を実現。
    • トレーサビリティが確保され、進捗の可視化が容易になります。

まとめ

アイデアの収集から評価、そして実行へと繋げる一貫したプロセスを構築することは、エンタープライズ規模でのイノベーション成功の要となります。IdeaScaleとJira Softwareの統合は、このプロセスをスムーズかつ効率的に運用するための強力な基盤を提供します。

▶統合のメリット

  • 迅速かつ効率的なイノベーションの実現
    IdeaScaleで収集・評価されたアイデアをJiraに移行し、SAFe®フレームワークに基づいて具体的なアクションへと落とし込むことで、アイデアの実行スピードが飛躍的に向上します。これにより、価値ある成果をより早く市場や現場に届けることが可能になります。
  • SAFe®の効果的な運用を支える基盤
    SAFe®のフレームワークは、組織全体の整合性を維持しながら大規模なアジャイルプロジェクトを管理するための手法です。この基盤を強化するIdeaScaleとJiraの連携により、エピックからユーザーストーリーに至るまでのトレーサビリティが確保され、プログラムインクリメント(PI)計画を効率的に実行できます。

IdeaScaleとJira Softwareの統合は、単なるツールの活用を超え、イノベーション文化の構築やアジャイルフレームワークの深化に寄与します。迅速な意思決定と効率的な実行を可能にするこの連携を活用し、組織全体でイノベーションを推進する未来に向けた第一歩を踏み出しましょう。


イノベーション管理ツール『IdeaScale(アイデアスケール)』の資料をダウンロード

株式会社システムコンシェルジュは、イノベーション管理ツール『IdeaScale(アイデアスケール)』に加え、イノベーション・マネージメントシステムに関するツール導入や活用方法のご提案などのサービスをお客様にご提供しています。

資料ダウンロードページへ移動
  • SHARE
  • line

この記事の監修者

INNOVATION WORLD 編集部

株式会社システムコンシェルジュが運営するオウンドメディア「イノベーションワールド」の編集チームです。皆さまのお困りごとを解決する私たちの取り組みなどをご案内いたします。

  • twitter
  • instagram
  • facebook

Related Post関連記事

aiとナレッジ管理ツールのイメージ画像
  • ツール活用

助成金・補助金の業務負担を生成AIとナレッジ管理で大幅軽減

助成金・補助金の申請業務は多くの手続きや書類作成に時間と労力がかかります。本記事では、生成AIとナレッジ管理ツールを活用して業務負担を軽減する方法を紹介。大量の資料を生成AIに登録し、質問すれば的確に回答してくれます。また、タスク管理ツールでタスクの期限管理や通知を行うことで、助成金の業務負担を大幅に軽減します

INNOVATION WORLD 編集部

助成金・補助金の業務負担を生成AIとナレッジ管理で大幅軽減
  • ツール活用

革新的なアイデアを集めるツール「IdeaScale」とは?その特長と導入メリットを徹底解説

革新的なアイデア収集ツール「IdeaScale」の特徴と導入メリットを徹底解説しています。 ユーザーフレンドリーなインターフェイス、強力なアイデア収集機能、評価と選別の仕組み、データ分析とレポート機能、カスタマイズ性統合性を特色とするIdeaScaleは、組織内のイノベーションを促進し、サイロ化を打破するための強力なプラットフォームとして提供されています。

INNOVATION WORLD 編集部

革新的なアイデアを集めるツール「IdeaScale」とは?その特長と導入メリットを徹底解説
  • ツール活用

アイデアから製品化へのリードタイムを大幅に短縮 IdeaScaleとJiraで実現する開発プロセス

イノベーション管理ツール「IdeaScale」とプロジェクト管理ツール「Jira Software」の連携によるメリットを解説します。両ツールの組み合わせが、アイデア収集からプロジェクト実行までのプロセスをいかに効率化し、組織全体でのイノベーションを推進するかを具体的に説明しています。この連携により、アイデアの評価から実装までがスムーズに進行し、より迅速な成果の実現が可能となります。

INNOVATION WORLD 編集部

アイデアから製品化へのリードタイムを大幅に短縮 IdeaScaleとJiraで実現する開発プロセス

Recent Posts新着記事

  • イベント・セミナー

9月16日セミナー開催|ここでしか学べない! ISO56001のリアル実践 ノウハウ公開セミナー

9月16日セミナー開催|ISO 56001の実践でつまずきやすい、戦略・方針を目標、活動計画、ポートフォリオへ落とし込む具体的な方法を解説。さらに、大企業から中小規模の組織まで、規模に応じたイノベーションの進め方も紹介。ISO 56001を学ぶだけでなく、実際の活動につなげたい方におすすめの内容です。

INNOVATION WORLD 編集部

9月16日セミナー開催|ここでしか学べない! ISO56001のリアル実践 ノウハウ公開セミナー
  • 特集記事

いまこそ求められる「新しいECM」――AI時代、日本企業の競争力を左右する「企業知識の統合」

生成AIの活用が進む一方、企業内に分散した情報や知識の品質が新たな課題となっています。本記事では、ECMを単なる文書管理ではなく「企業知識基盤」として捉え直し、情報・知識を統合してAIが活用できる状態を整え、ナレッジ管理やイノベーション・マネジメントを通じて価値創出につなげる考え方を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

いまこそ求められる「新しいECM」――AI時代、日本企業の競争力を左右する「企業知識の統合」
  • イベント・セミナー

2026年9月11日|「Developers Summit 2026 FUKUOKA」出展のご案内

2026年9月11日|Developers Summit 2026 FUKUOKAに出展します。生成AIにより、プロジェクト情報とナレッジを一気通貫で整理・活用できる「ONES製品」をご紹介します。開発現場に散在する仕様書、議事録、ノウハウ、タスク情報を横断的に検索・活用することで、情報分散や属人化を解消。開発生産性の向上と継続的な知見共有を実現するための活用方法を展示ブースでご紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

2026年9月11日|「Developers Summit 2026 FUKUOKA」出展のご案内
  • 特集記事

なぜ企業の新規事業は「始まるのに、育たない」のか

新規事業が「始まるのに、育たない」背景には、市場の変化よりも社内で承認された計画や手続きが優先されてしまう構造があります。ISO 56001をもとに、計画を仮説として扱う方法、現場の判断範囲、段階的な投資判断、評価の見直しなど、新規事業を成長につなげるための考え方を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

なぜ企業の新規事業は「始まるのに、育たない」のか
  • 特集記事

そのイノベーション活動は、本当に価値実現につながっていますか? 〜社内承認を目的化させず、価値実現につなげる組織設計〜

新規事業やPoC、研修などのイノベーション活動。実施すること自体が目的になっていませんか。本記事では、活動が目的化する背景を整理し、ISO 56001が示す「価値実現」の視点から、成果の捉え方や役員の役割、撤退の評価、研修の活かし方を見直します。イノベーション活動を継続的な成果につなげるための組織設計と実務上のポイントを解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

そのイノベーション活動は、本当に価値実現につながっていますか? 〜社内承認を目的化させず、価値実現につなげる組織設計〜
  • 特集記事

「イノベーション人材」を勘と経験だけで選ぶ時代は終わるのか 〜 ISO 56011が示す人材育成と組織能力の新たな視点 〜

ISO 56011は、イノベーション人材を勘や経験だけで選ぶのではなく、必要な力量を明確にし、組織として活かす考え方を示す規格案です。本記事では、「誰が優秀か」ではなく「何ができる必要があるか」という視点から、研修、育成、配置、採用、外部連携を見直し、個人の力量を継続的な組織能力につなげるための考え方を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

「イノベーション人材」を勘と経験だけで選ぶ時代は終わるのか 〜 ISO 56011が示す人材育成と組織能力の新たな視点 〜