• 特集記事

デザイン思考がイノベーションをどのように促進するのか

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 23.12.25
  • SHARE
  • line

デザイン思考は創造的な問題解決のアプローチで、新しい解決策を見つけるのに効果的です。専門家による定義では、デザイン思考は従来の革新的な手法と多くの共通点を持ちながら、新しいアイデアを生み出すプロセスとも言われています。

ここでは、デザイン思考を利用することが革新的なプロセスに与える影響について解説します。

デザイン思考とイノベーション

デザイン思考がイノベーションを促進する方法を理解するためには、まずデザイン思考が何かを把握することが重要です。

デザイン思考は「チームが顧客を理解し、問題を再考し、新しい解決策をブレインストーミングするプロセス」と定義されています。このプロセスにより、チームは新しい可能性を見出し、解決策を発見することができます。

この定義から、デザイン思考にはイノベーションにつながる多くのプロセスと共通点があることが分かります。デザイン思考がイノベーションを促進し刺激する方法について、いくつかの点を説明します。

イノベーション同様、デザイン思考は問題指向ではなく解決指向であり、その結果として生み出される解決策は多くの場合、革新的なものになります。

問題を総括的に見る

デザイン思考は、従来の方法では見つけられなかった解決策を発見することに重点を置いたプロセスです。これを実現するためには、問題に対して一歩下がって異なる角度からの分析が必要です。デザイン思考では、視点を広げるための特別な視覚化テクニックを用いることで、独自のソリューションを開発することができます。

デザイン思考が革新的な解決策を見つけやすい理由の一つは、問題ではなく解決策に焦点を当てているからです。問題を深く考えすぎると、思考が固定化してしまうことがあります。 このような固定観念を避けて革新的な解決策を生み出す方法です。滞留した解決策ではなく、独自の解決策を引き出すこの能力が、デザイン思考がイノベーションとうまくマッチする理由なのです。

ステップの再調整と再検討が可能

デザイン思考は、単一のステップではなく、連続のプロセスです。このプロセスを完了するためにはいくつかの異なる段階があり、それぞれが重要です。 通常、デザイン思考には「Empathize(共感する)」、「Define(定義する)」、「Ideate(発想する)」、「Prototype(試作する)」、「Test(テストする)」の 5 つの主要なステップがあります。各ステップは、問題の特定や解決策の定義において独自の役割を持ちますが、通常のステップバイステップの解決法とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。

デザイン思考のプロセスによって、アイデアの再考や問題解決が循環しやすくなります。 問題を見つけて解決策をテストし、展開した後に全体を一度流すのではなく、デザイン思考では、それぞれのステップとその交差点についてしっかりと考えることが求められます。

チームによっては、問題をすでによく理解しているため、アイデア出しを最初に行うこともありますが、その後になって洞察や調査が必要だと気づくこともあります。ここで重要なポイントは、デザイン思考のプロセスがイノベーションのサイクルであるということです。このプロセスは頻繁に見直され、調整されることで、アイデアや視点が常にアイデア生成のサイクルに良い影響を及ぼします。

視覚的な要素を使用する

デザイン思考がイノベーションを促進する方法の一つとして、物理的なアイデア発想法を使用することが挙げられます。通常のアイデア出しにはブレインストーミングやテキストを使った方法がありますが、デザイン思考においてはこれらの方法は必ずしも最適ではありません。

デザイン思考では、アイデアの視覚化に重点を置き、従来のブレインストーミングとは異なる方法を利用します。チームのメンバーが自分のアイデアを視覚的に説明し、共有された視覚化を通じて新しい解釈や考え方に気が付ける事が目的です。
このアプローチにより、他の人がそのアイデアを容易に理解し、新たなアイデアや取り組みを促進することができ、斬新な発想を効果的に刺激することが可能になります。

デザイン思考とオンライン ホワイトボード

デザイン思考は、視覚化と自由な表現に焦点を当てた、独自の解決策を生み出すための創造的な問題解決プロセスです。対面の状況ではこのプロセスを簡単に進めることができますが、オンラインで同様の成果を得るためには、共有オンラインスペースが必要です。

オンライン ホワイトボードは、デザイン思考をオンラインで導入しようとしているチームにとって必要なツールです。

代表的なオンラインホワイトボードツール

製品名称 概要
Miro(ミロ) Miroは非常に柔軟性が高く、デザイン思考セッションに最適なオンラインホワイトボードです。無制限のキャンバス、プリセットのテンプレート(エンパシーマップ、カスタマージャーニーマップなど)、リアルタイムのコラボレーション機能を備えています。ユーザーは簡単にアイデアをスケッチし、チームメンバーと共有することができます。
Stormboard(ストームボード) アイデアの発想と整理に重点を置いたオンラインホワイトボードです。スティッキーノート形式でアイデアを投稿し、簡単に整理や優先順位付けができます。リアルタイムのコラボレーション機能とともに、デザイン思考プロセスをサポートするためのテンプレートも用意されています。(英語のみ)
IdeaScale Whiteboard
(アイデアスケール ホワイトボード)
視覚的なアイデアを作成し、タスクと組み合わせて、既存のイノベーション ワークフローに簡単に組み込むことができます。つまり、デザイン思考で生み出されたアイデアなどはイノベーション管理ツール『IdeaScale』に連携され、イノベーションプロセスを連続させることができます。

 

以下よりオンラインホワイトボードを利用するメリットをいくつか紹介します。

スムーズな視覚化

オンラインホワイトボードは、従来のホワイトボードが持つ素早い視覚的効果を最大限に活かすのに非常に効果的です。この仮想ホワイトボードは、従来のホワイトボードの機能を再現するとともに、その可能性をさらに広げることができます。

この拡張された機能の例として、さまざまなインタラクション モードが使用できます。1つのインターフェイス上で、アイテムの描画、画像のアップロード、テンプレートの利用、テキストソリューションの使用などを行うことができます。インタラクションモードを使うことで、デザイン思考の演習に非常に役立ち、人々が望む幅広い種類のデザイン思考演習を実施できるようになります。

デジタル永続性

イノベーションは多くの場合、ひらめきの瞬間に生まれますが、その瞬間を記録しないとすぐに忘れてしまいます。 オンラインホワイトボードは、すべての編集内容や進行状況をデジタル形式で永続的に保存するので、イノベーションのきっかけとなるアイデアが失われることはありません。

デザイン思考において、デジタル記録の永続性は非常に重要です。これにより、ボードを何度も見直し、編集、変更したりすることが可能になります。どこからでもアクセス可能なボードが利用できることは大きなメリットとなります。

誰とでもすぐに共有できる

デザイン思考におけるオンライン ホワイトボード利用のもう1つのメリットは、共同作業スペースに大勢の人を参加させることができる点です。

デザイン思考は、人々が自分のアイデアや解決策を他人の視点と比較できるときに開花するプロセスです。オンライン ホワイトボードを使うと、この比較が驚くほど簡単になります。組織に所属しているかどうかに関わらず、誰でもボードに招待でき、数秒で参加して他者の投稿にフィードバックを提供できるようになります。

これが、オンラインホワイトボードが優れたコラボレーションプラットフォームとして評価される理由です。デザイン思考の演習や実践を行うチームにとって、これは非常に有用なツールです。

結論

デザイン思考は優れた問題解決プロセスであり、その視覚化と反復能力のおかげで、イノベーションと密接に連携しています。

ただしデザイン思考だけ取り入れてもイノベーションの目的が達成できるわけではありません。あくまでデザイン思考はイノベーションの糸口を生み出すものです。ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)のプロセスに照らし合わせれば、「機会の特定」プロセスの一部にすぎません。組織に適したイノベーション活動プロセスを定義し、全体を俯瞰してイノベーションを捉えることがイノベーション・マネジメントシステムとなります。


イノベーション・マネジメントシステム(IMS)に関するご相談

株式会社システムコンシェルジュは、イノベーション・マネージメントシステムに関するツール導入や活用方法などをお客様にサービス提供しています。

ご相談はこちら
  • SHARE
  • line

この記事の監修者

INNOVATION WORLD 編集部

株式会社システムコンシェルジュが運営するオウンドメディア「イノベーションワールド」の編集チームです。皆さまのお困りごとを解決する私たちの取り組みなどをご案内いたします。

  • twitter
  • instagram
  • facebook

Related Post関連記事

  • 特集記事

なぜ日本企業は「ツールを入れれば変わる」と考えてしまうのか 〜「仕組み化」の誤解が、DXとイノベーションの成果を阻む理由〜

多くの企業では、ツールや制度を導入しただけで仕組み化ができたと誤解してしまうことがあります。本記事では、ISO 56001の視点から、ツール導入を成果と誤認してしまう問題を整理し、目的・プロセス・役割・判断基準・評価をつなげて、DXやイノベーションを成果につなげる仕組み化の考え方を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

なぜ日本企業は「ツールを入れれば変わる」と考えてしまうのか 〜「仕組み化」の誤解が、DXとイノベーションの成果を阻む理由〜
リスクベースからビジネスベースへ
  • 特集記事

リスクベースからビジネスベースへ|いま求められるマネジメントの変革

変化の激しいビジネス環境において、従来の「リスク回避型マネジメント」だけでは持続的な成長は難しくなっています。新たな国際規格ISO 56001が提唱するのは、不確実性をチャンスと捉え、挑戦と価値創出を組織全体で推進する「攻め」のマネジメントです。日本企業が伝統的に持つ課題や文化を踏まえつつ、今求められる意識変革と実践のポイントを具体例とともに解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

リスクベースからビジネスベースへ|いま求められるマネジメントの変革
value-structure
  • 特集記事

「価値」の構造化で本当の価値あるサービスを提供する方法

「価値は提供しているはずなのに、なぜ響かないのか?」――今、顧客や社会が本当に求める価値と、組織が届けている価値との間にギャップが広がっています。ISO56001の視点から価値を構造的に捉え、再現性あるサービス設計と経営判断を実現するヒントを紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

「価値」の構造化で本当の価値あるサービスを提供する方法
結束と成功
  • 特集記事

イノベーションチームの結束と目標達成の秘訣

イノベーションチームの協力と目標達成を支える秘訣を解説。アジャイル手法や失敗からの学び、多様な専門分野間の協働を通じて、持続可能なイノベーション文化を築く方法を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

イノベーションチームの結束と目標達成の秘訣
組み替え可能なブロック
  • 特集記事

ビジネスコンポーザビリティ:変化に強い企業をつくるイノベーション戦略

企業が持続的に成長するためには「柔軟に再構成できる組織」が必要です。この記事では、Gartnerの「ビジネス・コンポーザビリティ」概念を中心に、変化に強い企業を実現するための戦略と実践ステップを解説。ISO 56001 / 56002との関係や、AmazonやMicrosoftの事例、日本企業の課題とその解決方法を示しています。変化をチャンスに変える組織づくりのヒントを提供しています。

INNOVATION WORLD 編集部

ビジネスコンポーザビリティ:変化に強い企業をつくるイノベーション戦略
  • 特集記事

オープンイノベーションとイノベーション・マネジメントシステムの関係

新規事業を成長事業にするためのフレームワークとは?オープンイノベーションとイノベーションとの関係を理解し、成長事業にするための方法論や仕組みを解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

オープンイノベーションとイノベーション・マネジメントシステムの関係

Recent Posts新着記事

  • 特集記事

オープンソースライセンスの思想から考える、共創型イノベーションのあり方 〜「無料で使う」から「共に価値を創る」へ、日本企業に求められるOSS観の転換〜

OSSの価値は、コスト削減だけではありません。本記事では、オープンソースライセンスの思想をもとに、OSSを「無料で使うもの」ではなく、共に育てる価値基盤として捉える考え方を解説します。日本企業に求められるOSS観の転換、OSPOやOSS戦略の重要性、オープンイノベーションにつなげるための視点を紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

オープンソースライセンスの思想から考える、共創型イノベーションのあり方 〜「無料で使う」から「共に価値を創る」へ、日本企業に求められるOSS観の転換〜
  • 特集記事

ISO 56001で読み解く、日本企業のイノベーション不全 「新規事業部」ではなく、経営システムを変えなければならない

研究開発投資や新規事業部、DX推進だけでは、イノベーション不全は解消しません。本記事では、ISO 56001の視点から、日本企業のイノベーション活動が価値創造につながりにくい理由を整理します。新規事業やDXを個別施策で終わらせず、経営戦略、人材、評価、学習をつなぐ経営システムの必要性を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

ISO 56001で読み解く、日本企業のイノベーション不全 「新規事業部」ではなく、経営システムを変えなければならない
  • イベント・セミナー

2026年9月1日~4日|「ITトレンドEXPO2026 Summer」出展のご案内

システムコンシェルジュは、2026年9月1日(火)~4日(金)に開催される、株式会社Innovation & Co.主催の国内最大級のオンライン展示会【ITトレンドEXPO2026 Summer】に出展します。 ブースでは、新規事業の創出/既存事業の革新を支える『ISO56001|イノベーション・マネジメントシステム(IMS)支援サービス』をご紹介します。

INNOVATION WORLD 編集部

2026年9月1日~4日|「ITトレンドEXPO2026 Summer」出展のご案内
  • イベント・セミナー

9月 9日セミナー開催|DX部門・情報システム部門が知っておきたい、生成AI時代のプロジェクト管理改革【録画配信】

9月 9日セミナー開催|「DX部門・情報システム部門が知っておきたい、生成AI時代のプロジェクト管理改革【録画配信】」。生成AIを個人利用から組織利用へ。プロジェクト管理とナレッジを一気通貫でつなぎ、組織全体の成果につなげる新しい活用方法を紹介します。(7月29日開催セミナーの録画を配信します)

INNOVATION WORLD 編集部

9月 9日セミナー開催|DX部門・情報システム部門が知っておきたい、生成AI時代のプロジェクト管理改革【録画配信】
  • 特集記事

なぜ新規事業やベンチャー企業は成長しにくいのか? ――新規事業を生み出す人と、イノベーションを生み出し続ける経営者の違い

新規事業を生み出す力と、イノベーションを生み出し続ける経営能力は同じではありません。創業期に強みとなるプレーヤー型の意思決定は、組織拡大後には成長を阻む要因にもなります。ISO 56001の視点から、「ひらめき」を一度きりで終わらせず、何度でも価値へ変える組織能力の重要性を解説します。

INNOVATION WORLD 編集部

  • 2026.08.03
なぜ新規事業やベンチャー企業は成長しにくいのか? ――新規事業を生み出す人と、イノベーションを生み出し続ける経営者の違い
  • 特集記事

生成AI時代の経営責任 日本企業は「AI活用」から「AI統治」へ移行できるか

生成AIを現場活用だけで終わらせず、経営として統治の仕組みを整えることが重要になっています。本記事では、ISO 56001の視点から、AI統治を競争力の条件として捉え、リスク管理、法務・知財・個人情報、AIエージェント化への備え、実装ロードマップまでを整理します。

INNOVATION WORLD 編集部

生成AI時代の経営責任 日本企業は「AI活用」から「AI統治」へ移行できるか