厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査の概況」の発表データから日本の平均労働時間は7.46時間という結果がでています。日本の労働時間については、令和6年2月発表の「労働経済分析レポート No.4 わが国の過去 50 年間(1973 年~2023 年)の 労働時間の推移についての考察」もご参考ください。
労働時間のなかで従業員が最も生産的な活動ができるのは3~4時間と言われています。限られた時間のなかで生産性を高め、作業の質を向上させるためには、組織としてルールや仕組みを策定し、効率の良い時間管理方法を見つける必要があります。
ビジネス組織は時間管理の戦略を駆使して従業員の生産性を最大化させることが重要になります。
一日の中で最も生産性の高い時間を見極める
個人差はあるかもしれませんが、一般的に集中力が高まり生産性が向上する時間は
- 脳も体も疲れていない午前中(起床後2〜5時間)
- 軽い運動後(疲れない程度)
- 仮眠後(30分以内)
と言われています。
朝が弱く昼過ぎや夕方以降になると集中できる人もいる場合もあります。自分自身が、もっとも生産性が高まる時間(活性時間)を見極める必要があります。例えば、生産性が高まる時間帯に重要なタスクや創造的なタスクに着手し、それ以外の時間はオペレーション的なタスクに着手する。調子が乗らない時には軽い運動もしくは仮眠するなどの工夫をすることも大切です。イノベーションを生み出す創造的なディスカッションを行う場合、参加メンバーの活性時間を知っておくのもよいでしょう。
To Doリスト(タスクリスト)を作成する
活性時間を見極めたら、その時間帯に合わせたタスクスケジュールを作成しましょう。
これには、いくつか方法があります。
効果的な方法は、タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールやナレッジ管理ツールを活用することです。
ここでは株式会社システムコンシェルジュで取り組んでいる例をご紹介します。
『ONES Project』でタスク管理を行う
当社では、プロジェクト管理ツール『ONES Project』のタスク管理テンプレートを使って、タスク管理を行います。
ONES製品では、共通機能として「マイワーク」という機能があり、「情報を探す(検索)」「情報に気づく(通知)」「自分の仕事を見極める(マイワーク)」という3つの視点で仕事を進めることができるので便利です。
下図(左)マイワークから、業務(プロジェクト)を横断して自分に割り当てされたタスクを確認できます。
下図(右)タスクには、タスク難易度が設定でき、「オペレーション」「クリエイティブ」「チャレンジ」「その他」というタスクの難易度を設定します。
タスク難易度は、以下の用途で選択されます。
このタスク難易度は、自分自身のタスク整理にも活用でき、マネジメント側においても意図を伝える重要な項目になります。
たとえば、マネジメント側が部門メンバーの成長を考えたタスクを口頭で伝えても、十分に伝わらない場合があります。伝わらなかった場合、無理無茶なタスクを割り当てられたなどの勘違いが生じ、パワハラにまで発展しかねない事態になる場合もあります。
以下のようにタスク難易度を設定することで明確にメンバーに伝えることができます。
人事評価制度においても、タスク難易度をこなした件数などを設定すると成果指標が作りやすいと思います。
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オペレーション |
マニュアルやルールが設定された通常業務レベルもしくは一般業務レベルのタスク |
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クリエイティブ |
企画書の作成などの創造的な作業を行うタスク |
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チャレンジ |
担当者が未経験のタスク |
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その他 |
上記に属さないタスク |
『ONES Wiki』で今日のゴールを設定する
株式会社システムコンシェルジュでは、出勤直後にナレッジ管理ツール『ONES Wiki』のテンプレートで「今日のゴール」を作成するルールを設定しています。
今日、何をやるべきかを整理し、退勤時に結果を記載することとなっています。一見すると面倒なように感じますが、自分の仕事を整理し、取り組むことで生産性は劇的に向上することを忘れてはいけません。
下図(左)から個人を選択し、自分自身の個人スペースにアクセスして、テンプレートから下図(右)「今日のゴール」を作成します。
ナレッジ管理ツール『ONES Wiki』には、多くのテンプレートが用意されており、毎日のタスクを整理して仕事に取り組む場合、通常はTO DOリストのテンプレートを利用しますが、自社に使いやすくカスタマイズしたものが今日のゴールのテンプレートとなります。
このように活性時間を見極めて、重要なタスクを割り当て配分し、生産性の高いToDoリストを作り、時間を計画的に割り当てましょう。手間がかかり生産性が下がるのではと思われがちですが、試してみると生産性が向上していることに気がつくはずです。
タスクの優先順位付け
タスク管理と活性時間への割り当てができるようになったら、適切な優先順位付けができるようになれば、さらに生産性は高まります。以下に代表的な優先順位付けのフレームワークを紹介します。
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フレームワーク名 |
説明 |
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アイゼンハワー・マトリックス |
タスクを「緊急かつ重要」「重要だが緊急ではない」「緊急だが重要ではない」「緊急でも重要でもない」の4つのカテゴリに分けて優先順位を決定する。 |
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パレート原則 (80/20の法則) |
すべての結果の80%は原因の20%から生じるという考えに基づき、最も影響力の高いタスクに焦点を当てる。 |
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GTD(Getting Things Done) |
タスクを「すぐに実行」「延期」「委任」「参照用に保存」「捨てる」の5つに分類し、整理する。タスクを小さなステップに分けて処理することで、実行しやすくする。 |
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MoSCoW法 |
タスクを「Must have (絶対に必要)」「Should have (できれば欲しい)」「Could have (可能なら欲しい)」「Won’t have (このプロジェクトでは不要)」の4つに分類して優先順位を決定する。 |
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ABC分析 |
タスクを重要度に基づいて「A(最も重要)」「B(中程度の重要度)」「C(最も低い重要度)」の3つに分類し、それに応じて優先順位をつける。 |
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FranklinCovey ABCメソッド |
タスクを重要度に応じて「A(実行必須)」「B(行うべき)」「C(実行可能)」「D(後回しでよい)」に分類し、さらにそれぞれのカテゴリ内でタスクに1, 2, 3の数字を割り当てて優先順位を決定する。 |
これらのフレームワークを活用してタスク管理ツールのラベルもしくは優先順位フィールドに優先順位を設定してください。
「今日のゴール」もしくは、タスク管理ツールの「ステータス」を集計したマトリックスやダッシュボードなどで、毎日の終わりに優先順位の高いものが、どれだけ完了したのかを確認する振り返りをしてください。とくに活性時間にどれくらいの質と量で達成できているのかを自分自身で知る事です。例えば、毎日を振り返りすることで、活性時間内に、どれだけのタスクと難易度が対応できるのかを知ることができます。
難易度や優先順位をもとにタスクを委任
タスク難易度「オペレーション」や優先順位の低いタスクは委任することが適しています。多くのリーダーは他人に仕事を任せることができます。可能な限りタスクを他の人に委ねたり、特定の作業、例えば調査やデータ収集を委任しましょう。委任する相手はその仕事に適任の人、または外部へアウトソーシングすることも考えてください。これにより、各自が得意とすることに集中でき、満足度と成果が向上します。
割り込みをブロックする時間をつくる
期限が迫っている優先順位の高いタスクやタスク難易度が「チャレンジ」「クリエイティブ」のタスクに取り組む場合、割り込みをブロックし、集中できる時間を作る方法も生産性を高める方法のひとつです。このタイムブロッキングは、いかなる中断もせずに 1 つのタスクだけに集中することで、生産性の高い時間帯により集中して作業するという概念です。これは、電話、電子メール、スマートフォンの使用を一切行わず、ただ目の前のタスクに集中することを指します。この方法で、3~4時間の集中作業で質の高い成果を生み出すことが目指せます。
マルチタスクは一見効率的に思えますが、実際には決断疲れやパフォーマンスの低下を招いているものです。
決断疲れとは、「多くの検討と判断を下した後、1日のうちにますます多くの判断を下す能力が低くなるという考え」です。「判断を迫られるほど、疲労が増し、難しくなる」というものです。
就業時間中のデジタル断食
集中力を高めるために、タイムブロッキング中はデジタルデバイスと距離を置くことが効果的です。多くの人が頻繁にスマートフォンをチェックしているため、実際には難しい挑戦ですが、チェックの頻度を減らせば日々の生産性を高めることができます。
また、生産性の高い時間帯やタイムブロッキング中だけでなく、日中の他の時間にも、意識的にデジタルデバイスから離れてみましょう。
例えば:
- チームやクライアントとのミーティング中。
- 1対1の会話中。
- 家族や友人との夕食時。
- 寝る1時間くらい前。
- 起床後1時間ほど。
- 週末のまとまった時間。
また、週末には仕事関連の通知をすべてオフにするか、アプリを使用して休暇中に個人的および仕事上の連絡先を管理することも効果的です。
これにより、仕事とプライベートのバランスを改善し、集中力を高めることができます。
類似タスクをまとめてバッチ処理
タスクのバッチ処理とは、似たようなタスクを一度にまとめて処理する手法です。これにより、メール対応を1日の特定の時間帯(朝一番、昼食時、一日の終わり)に限定するなど、生産性を高めます。たとえば交通費精算と経費精算、出張精算などのタスクは、タスクのバッチ処理として取り組むことで生産性が高まります。もしこのような似たようなタスクが組織内でバラバラな期限で設定されていた場合は、同じ期限にまとめるというルールを作ることも方法のひとつです。これによってタスクに集中しやすくなり、効率的に作業を進めることができます。
熟考の時間を設ける
タスク難易度「クリエイティブ」「チャレンジ」で設定されたタスクの着手には熟考する時間が必要になります。この熟考は1~2日の時間をかけて検討する余裕を持つことが重要です。その後、自分の生産性が最も高まる時間帯に、自分の熟考をもってチームでのブレインストーミングを行う時間を確保しましょう。
効果的な休憩の重要性
長時間働けば生産性が上がるわけではありません。短い休憩を取ることで、気分のリフレッシュや集中力の回復が期待できます。
たとえ5分や10分でも、休憩を取ることで次の様なメリットがあります。
- 価値観の調整
- 生産性の向上
- 精神的健康の改善
- 幸福感の向上
- 仕事の満足度の向上
- 集中力と注意力が回復する
- 意思決定の疲労を最小限に抑える
- 創造性の向上
休憩中は仕事から完全に離れ、できればデスクからも離れて、散歩や仕事とは関連のない活動やランチを楽しむと良いでしょう。
効率的な時間配分の戦略
昼休みや適度な短い休憩に加え、以下に挙げる科学的に効果が証明されている効率的な時間管理の方法もあります。
| 30-30-30 ルール | 勤務時間の30%を各仕事、チーム育成、自己啓発、それぞれに割り当てる方法 |
| 52-17 ルール | 52分間の作業の後に17分間休憩するという方法 |
| ポモドーロ法 |
25分の作業+5分休憩がワンセットで、これを4回繰り返すごとに30分の休憩を取る方法 |
これらのルールは集中力を高め、疲労を軽減するのに役立ちます。
生産性を高めるための創造時間を設定する
毎日の予定を詰め込み過ぎないように心がけましょう。できれば、週に数時間の余白時間をスケジュールに組み込んでください。この時間は、予想外に時間がかかるプロジェクトや、思いがけない新しいアイデアに対応するために利用しましょう。
毎日の予定を詰め込み過ぎないように心がけましょう。できれば、週に数時間の余白時間をスケジュールに組み込んでください。
たとえば、クリエイティブな時間(創造時間)を組織や部門として定義し、必ず創造時間を取得するようにルール化することも方法のひとつです。
予想外に時間がかかるプロジェクトや、思いがけない新しいアイデアに対応するために創造時間を活用しましょう。
日々の業務に追われ、疲労困憊した状態では組織の革新的なアイデアを生み出すことはできません。
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