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報酬体系がイノベーションに与える影響

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 24.07.26
報酬体系がイノベーションに与える影響
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企業活動における報酬制度は、例え善意からの意図であっても、うまく機能しないとイノベーション活動に関わる人材が流出してしまう恐れがあります。ここでは、より良いバランスを実現するためのアイデアをいくつか紹介します。

報酬制度に関する最も影響力のある記事の1 つに、GE とゴールドマン サックスで人材とリーダーシップ開発の卓越した役割を担った、HR 専門家のスティーブ カー氏  によって書かれたものがあります。その記事のタイトルは「B を期待しながら A に報酬を与えることの愚かさについて」です。  その中で、彼は、歪んだインセンティブのシステムが、望ましくない結果に私たちを導くことがいかに多いかを示しています。


適切な資金配分の重要性

イノベーションには投資が必要ですが、多くの組織は資金の配分に苦労しています。たとえば、筆者のクライアントの A社は、膨大なコストをかけ高品質のイノベーションのトレーニングプログラムを作成しました。しかし、このプログラムでは、ワークショップを運営するための設計、ファシリテーション、バック オフィスの費用をすべて企業が負担するというもので、多くの経費負担が必要なものでした。 

昼食時の雑談の中で、マネージャーの一人が私に「私の部署での導入は現実的ではありません」と打ち明けてくれました。驚いて何故かと、その理由を尋ねたところ、このプロジェクトの資金調達方法では、部門の利益に影響が大きいためプログラム導入は現実的ではない、とのことでした。

このように、非上場企業が経営する会社の場合、コスト重視の考え方がいまだに多く見られます。


過去のビジネスモデルに縛られる危険性

報酬の仕組みは、組織の未来を左右する重要な要素です。従来のビジネスモデルに固執することで、企業が破滅へと向かうケースがしばしばあります。リーダーが既存の枠を超えて考えられないため、将来的に成功しそうな小さな機会を見落としてしまうのです。ジェフリー・ムーア氏の著書「Zone to Win」では、このような状況が詳しく解説されており、新しいビジネスチャンスをどのように見極め、取り組むべきかが語られています。


イノベーションマスタリースケール

企業での経験を通じて開発したイノベーションマスタリースケール(イノベーション習熟度尺度)は、組織のイノベーションへの取り組み度を測定する診断ツールです。このスケールは、さまざまなレベルや機能、地域の職員が回答するオンラインアンケートに基づいており、組織全体で利用されます。特に、以下の三つの質問が重要です。

  • アイデアを試すための資金を調達する難しさ
  • 組織のイノベーション成功が個人の評価にどれだけ影響するか
  • 事業部門のリーダーがイノベーション支援によるリスクをどれだけ懸念しているか

最近の調査の結果は次のようになりました。

資金調達の方法の周知徹底レベル

この会社では、66% の人がアイデアを試すための資金をどうやって調達すればよいのか知りませんでした。

イノベーションへの取組みが評価されるかどうか

同様に、回答者の 73% (組織全体) は、イノベーションへの取組みは自身の評価や報酬に影響しないと答えています。 

イノベーション活動を行うことがリスクだと考えるかどうか

キャリアに関する3番目の質問では、回答者の73%が、マネージャーがイノベーションを支援または促進することはキャリア上のリスクになると感じていました。 
ここで、スティーブ・カー氏の論点に戻りますが、イノベーションに報酬を与えなかったり、イノベーション活動に対して非協力な態度のメンバーがいるのであれば、革新的な成果は期待できません。


よりイノベーションフレンドリーな仕組み

パフォーマンスに対して従業員に責任を負わせることには意味があります。しかし、  ここで重要なのはそれではありません。実際に何に対して報酬を与えるのか、どのような行動が望ましいと評価されるのか、についてメンバーに伝える必要があります。

そして明確に定義すると公平性も高まり誰もが不満なく協力する環境が整うでしょう。起業家のサフィ・バコール氏_は、ハーバード・ビジネス・レビュー_の記事「イノベーション方程式」で、構造的な解決策を提案しています。これには、報酬が組織内の地位ではなくプロジェクトの成果をどの程度反映するか、プロジェクトスキル適合率 (従業員が割り当てられたタスクにどれだけ適しているか) と政治収益率 (ネットワークと政治活動によって得られる利益) の比率、管理スパン (リーダー 1 人あたりの直属の部下の人数)、給与ステップアップ (階層内で上昇することによる金銭的利益) が含まれています。

また、マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏 は、チームに前向きな考え方を身につけさせるために、マイクロソフトの報酬制度にイノベーションの先行指標を組み込んでいます。  これには (驚くべきことに)「顧客愛」や「共感」などの課題が含まれています。

AdobeやNetflixなどの他の企業は、報酬として特定のイノベーションだけを特別視することなく、大きな自主性を強調する運営モデルと魅力的な給与水準を組み合わせています。 

これらはイノベーションフレンドリーな仕組みの例として、非常に参考になります。 


革新への道を切り拓く第一歩

イノベーションを促進する第一歩として、以下を意識しましょう。

  1. まず阻害要因を取り除くことが重要です。そのために、報酬制度がどのようにリーダーの行動を阻んでいるかを特定し、改善策を施すことから始めましょう。
  2. 次に、組織におけるイノベーションの阻害要因が何であるかを調べます。例えば頭の固い働き方や、「今までこうしてきたから」という旧来の慣行、そして、妨げとなっているマンネリ化した従業員など、イノベーションを妨げている部分を洗い出します。
  3. さらに、大規模な投資をせずともイノベーションを加速できる方法を探るために、アジャイル手法などの新しいアプローチを試してみるのが良いでしょう。このプロセスは、スティーブ・デニング氏 の「アジャイルの時代」とダレル・リグビー氏 の書籍(Winning in Turbulence』  (2009年)と 『Doing Agile Right』 (2020年))を参考にすると効果的です。

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