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やっているはずの知識共有ができていないのはなぜ?

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 24.06.01
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労働人口が減少する中で、組織内の知識や経験を継承し、組織の能力や力量を維持することは至上命題となっています。個人の力量が組織の力量となってしまう、いわゆる属人化を解消するために、多くの国際標準規格であるISOの要求事項にはナレッジ管理が含まれています。では、ナレッジ管理を仕組み化し、効果的に運用するためにはどうすればよいのでしょうか?

その糸口となる解決方法が「ふりかえり」です。以前にも「ふりかえり」をテーマとした記事を公開しましたが、プロジェクト管理におけるナレッジ管理の重要性とは具体的にどのようなものなのか、本記事では解説いたします。

参考記事

放置された成功や失敗の脅威(リスク)を防止する「ふりかえり」の仕組みとは

プロジェクトの反省でしばしば登場する「知識共有が不十分だった」。しかし、それはプロジェクト遂行中に知識共有を進められなかった、仕組み作りの問題です。データやドキュメントを手にすれば実現できる情報共有と、コミュニケーションによって学習・習得することで可能となる知識共有の違いを意識した取り組みがプロジェクト開始の前に必要となります。


プロジェクト終了後に気づく知識共有の重要性

プロジェクトの終了後に行う「ふりかえり」によって知識共有が不十分という問題が浮き彫りになることがあります。プロジェクト進行中には、具体的な課題やスケジュールの遅延が焦点となり、知識共有の不足が原因であるとは捉えられにくいものです。

効果的なコミュニケーションは知識共有が前提となりますが、それが不足していると、意思疎通に必要な時間が過剰にかかり、プロジェクトの効率が低下します。このため、知識共有を促進する体制をプロジェクト開始時に確立することが重要ですが、実際にはその重要性が終了時まで顕在化しないことがあります。

例えば、英語が話せても、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションは細部で誤解が生じやすく、時間がかかることがあります。これは、プロジェクトチーム内でも同じで、メンバー間での知識の背景を共有することによって、意思疎通をスムーズにし、プロジェクトの進行を効率化することが可能になります。

知識共有は最終目的ではなく、ゴールであるプロジェクト完了に迅速にアプローチするために必要な前提です。このため、知識共有を推進する仕組みは、プロジェクト開始時に用意されている必要がありますし、ほとんどのプロジェクトは十分な知識共有の仕組みを用意した上でスタートしていると考えているでしょう。

ところが、結果的に知識共有が不十分であったことが、プロジェクト終了時に判明します。これはなぜでしょうか?


情報共有と知識共有の違い

プロジェクトで知識共有がうまくいかない一因は、設計されたシステムが情報共有のみに特化しているためかもしれません。情報共有はデータや文書の共有にとどまりますが、知識共有はそれを超え、組織や個人が持つ専門知識や経験を共有します。これにより、問題解決や学習、成長、意思決定の質が向上し、組織全体のパフォーマンスが高まるのです。適切な知識共有の仕組みを導入することで、より効果的な協働が実現可能になります。

情報共有はデジタルツールを用いたデータやドキュメントの共有のケースが多いですが、知識共有は専門的な知識を活用するプロセスに焦点を当てています。情報共有のための仕組みは、情報を効率的に伝達するためのツールとして発展し、現在ではチャットやクラウドストレージが多く利用されています。一方、知識共有は、共有された情報をどのように実際の作業に活用するかが鍵となるため、単にツールを使うだけではなく、実際の作業経験や学習を通じて知識を体得するプロセスが必要です。このプロセスを支えるためには、実際に作業を行いながら知識を共有し、深いディスカッションを通じて理解を深める機会が不可欠です。


知識共有の障壁とその解消方法

知識共有が進まない理由は多岐にわたります。組織文化が知識共有を奨励していない、コミュニケーション手段が不十分、従業員が多忙で知識共有に充てる時間がない、報酬や認知の不足などが挙げられます。

これらを解決するには、個別の要因に応じた対策が必要ですが、特に重要なのは、適切な知識管理とアクセスしやすい場所に知識を整理することです。適切なナレッジベースの選択や共有プロセスの導入が効果的です。ONES Wikiを活用することで、リアルタイムでの共同編集とプロセス支援が可能となり、プロジェクト進行中もスムーズな知識共有を実現できます。


ケーススタディー:デジタルツールの統一と知識共有

食品メーカーD社は、オンラインショップのサイト開設25周年を記念した大幅リニューアルに際し、社内のコミュニケーションツールの統一が課題となりました。また、多様なデジタルツールが乱立する中、複数の外部協力会社との円滑なコミュニケーションも求められています。

サイトの再構築プロジェクトでは、複数の外部協力会社との効率的な協業が求められました。このため、社内で使用するコミュニケーションツールを再検討し、不要なツールを廃止。ONES Project ONES Wiki を導入し、プロジェクト関連のデータを一元管理できる統一されたプラットフォームを設定しました。これにより、外部協力会社との暗黙知の差を埋める知識共有がスムーズに進行し、サイト改修プロジェクトの効率化と品質向上を実現しました。

ONES製品は大規模なプロジェクト管理と効果的な知識共有の促進を支援するために設計されており、チーム間の連携を強化し、プロジェクトのスムーズな運営を可能にします。知識共有を重視する企業にとって特におすすめしたいツールです。

※本記事はONES Japan社のブログ記事から抜粋

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INNOVATION WORLD 編集部

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