ビジネスの現場では「属人化」という言葉が頻繁に使われるようになりました。「属人化を防止する」という言葉がひとり歩きをして、否定的な意味合いで使われることが多いのでないでしょうか。
なぜならビジネス組織において個人に依存した属人化は大きな脅威(リスク)と考えられるからです。
属人化の脅威(リスク)
属人化とは、特定の個人でしか業務の詳細内容や進め方を把握できていない、もしくは業務遂行できないという状態のことです。一般的には「ネガティブ」な意味で用いられており、悪者扱いされるケースがあります。その理由は特定の個人が休暇や退職した場合に業務が遂行できないなどの問題が顕在化するためです。
属人化によって引き起こされるリスクの代表的な例は以下となります。
- 業務やビジネス活動の遅延や停滞
- 知識や情報の非共有化によって引き起こされるトラブル
- 組織やビジネス活動における柔軟性が低下し、変化に対応できなくなる
属人化が生まれる背景と理由
属人化が生まれる背景には、以下のケースが考えられます。
- 環境変化に組織が対応できず、個人の能力で解決した結果
組織の変革や新しい技術の導入など、環境の変化に組織全体が追いつけず、特定の個人がそのギャップを埋める形で問題を解決する。 - 突出した能力をもつ個人と周囲や環境とのギャップ
特定の個人の能力・知識が突出しているため、質や量とも周囲では対応できないレベルで業務をこなしてしまっている。 - 業務過多であることを個人が解決してしまう
業務の量や複雑さから、個人が独自の方法や手順を確立してしまう。 - 自分の価値を高めるためにブラックボックス化した仕組みを作り上げる
個人が自らのポジションを守るため、情報を独占したり、特定の業務を独占するような行動をとる。
4.については、自分勝手で迷惑な属人化であり批判されてもしかたがないことですが、1.から3.については組織やマネジメントで解決できるものです。自分勝手で迷惑な属人化については論外とし、属人化に進んでしまう理由には、会社組織、上司や同僚のために「何とかしなければいけない」という善良な感情によって引き起こされる場合があることを忘れてはいけません。
過去の記事に「失敗マネジメント」を解説したとおり、失敗にも良い失敗と悪い失敗があるように、属人化にも良い属人化と悪い属人化が存在することを理解ください。
| 参考記事 | イノベーションの仕組みを『失敗マネジメント』として応用する |
先進的な取り組みや革新的な発想は属人化になりやすい
属人化の中心となる人物は、技術、知識、経験などを併せもったイノベーターやアーリーアダプターの人々である場合が多い。
現在の問題を解決、将来の脅威を取り除き、機会を捉えるための先進的で革新的な取り組みは周囲からの理解を得られずに孤立してしまう可能性があります。
イノベーターやアーリーアダプターの人々を孤立させずに、それらの意見やアイデアに耳を傾け、優先順位をつけて組織的に対応する仕組みこそが属人化を防止する近道です。
会社組織やビジネス組織の成長因子とも言えるイノベーターやアーリーアダプターの能力・知識・経験や独自性を尊重しつつ、組織全体の持続性や拡張性を確保するためのバランスを取る仕組みが必要になります。
これらは従業員だけが対象ではなく、経営陣や上級管理職にも該当します。とくに責任や役割が大きい経営陣や上級管理職が属人化した場合の脅威(リスク)は全社規模にも発展するため、このような仕組みは必要不可欠になるといえます。
属人化にさせない仕組みとは
属人化を防ぐために取り組むべき事項としては
- 経営陣や管理職のマネジメント能力の向上
- オープンな仕組み、ルールの定義と実行
- 共通言語、共通知識などの共通意識やコミュニケーション
- イノベーター、アーリーアダプターの保護
となります。
これらの事項は、ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の要求事項にも記されているため、イノベーション・マネジメントシステムは、ビジネス組織の属人化を防止する効力も備わっていると考えられます。
まとめ
個人の責任になってしまうがちな属人化ですが、属人化の背景にある本当の原因を解決すれば、組織の成長や変革を促すための大きな武器を手に入れることにつながります。
これまで述べた事項は、ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の要求事項にも記載されていますので興味があればご参考ください。
ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の概要について
属人化が大きな武器に変わるISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)の概要について知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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