多くの人々は失敗を恐れてしまいがちです。それは失敗すると責任を追求されたり、評価を下げられたり、誰かに迷惑をかけてしまう可能性があるからです。しかしイノベーションという視点においては、失敗は成功への重要な要素に変わります。本記事では失敗を成功に変えるためにイノベーションの仕組みを失敗マネジメントに応用するための方法を解説します。
失敗が共有されないことで発生するリスク
経験豊富な起業家や経営者は、成功だけを望んでいるように見えますが、実際にはそうではありません。ホンダの創業者である本田惣千郎は、「成功は99%の失敗である」と言いました。トヨタでは「失敗を組織全体の財産とする」という風土を作り上げているとも聞いたことがあります。個人の視点では、失敗をしたくないという考えは合理的ですが、組織やチームという視点では非合理的と考える必要があります。それは個人の失敗を個人の範囲で終わらせてしまうと別のメンバーが同様の失敗をしてしまう恐れがあり、組織単位でみれば同じ失敗を繰り返していることになります。つまり失敗と改善策が共有されないことで組織に不利益が生じる結果となります。
失敗はタイプ別に捉えて適切に対応する
失敗学では、失敗のタイプを4つに分類しています。
失敗学における失敗原因の第2レベルの分類
| 個人に起因した失敗 | 知識やコミュニケーション不足、不注意、理解不足、疲労や体調不良、マニュアルやルールの不遵守、誤認識など個人に起因したもの |
| 個人・組織のいずれの責任にもできない失敗 | 経済や社会環境の変化、自然災害などが起因したもの |
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組織に起因した失敗 |
権利構築の不良(役割・責任が曖昧など)・組織構成の不良(人的リソース不足など)・戦略や企画の不良(戦略・方針は曖昧など)などが起因したもの |
| 誰の責任でもない失敗 | 未知の事象や予測困難な事象が起因したもの |
この失敗学の4つのタイプから考察すると、個人と組織に起因した失敗は改善活動に該当し、それ以外は失敗の経験データとして捉えることができます。
ご存知の通り、イノベーションは予測困難な世の中であっても価値を創造するための仕組みです。
忘れてはならないのは、すべての失敗は共有され、改善活動や経験蓄積が行わなければ同じ失敗を繰り返してしまうリスクが発生してしまうことです。
失敗をタイプ別に捉えて最適な活動プロセスに振り分けて、改善もしくはナレッジ化させるのはマネジメントシステムが重要な役割を担います。
イノベーションを失敗マネジメントとして応用
失敗と成功を判断するのは誰でしょうか?例えば、あなたは目標売上を120%達成した営業職だったとします。しかし売上金額でみると営業部門では満足できる金額なのでしょうか?競合会社と比較しても満足できると言えるのでしょうか?もしくは業界全体で同年代の実績を比較すると満足できる成果を出したのでしょうか?何が失敗で何が成功しいぇいるかは、目的や視点によって大きく変わってしまいます。
目標の成功基準を明確にせずに結果が出てから良かった点や悪かった点を考えてしまうことを体験されたことはないでしょうか。失敗を恐れ、結果が出てから良し悪しを考えてしまう例なのですが、失敗を失敗を認めないために改善も成長もできないリスクが生じます。
失敗を失敗として認めることが将来の成功につながるため、成功基準を決めて測定可能な状態にすることが重要にです。イノベーションの仕組みでも同様に行われます。
つまりイノベーションの仕組みでは市場の動向や課題、アイデアなどを起点にして価値を考えますが、この仕組みを応用すれば、失敗を起点にして原因と改善を経営や組織のマネジメントシステムとして対応することができます。
失敗マネジメントは成功を得る
イノベーションの歴史には、驚くほどの成功を収めた製品でも、その誕生の過程では失敗と扱われた製品が数多くあります。たとえば、ポストイットは、研究者が最強の接着剤を開発しようとする中で、驚くほど弱い接着剤が生まれたのです。それは失敗作と思われ、市場に出るまで 10 年間放置されていました。1980 年にこの製品は今日知られているユビキタスな整理およびメモ ツールとして再発売されました。
ご存知の方も多いと思いますが、ポストイットの開発会社は、古くから積極的にイノベーションに取り組んでいる3Mです。もし失敗を失敗で放置していたらポストイットは生まれなかったと思います。
失敗を蓄積し、共有することは成功への礎になることは明らかです。
イノベーション・マネジメントシステムの仕組みは、そのまま失敗マネジメントに応用できると考えてください。
投資家は失敗を恐れず、挑戦しないことを恐れる
新製品の最大 85% は最終的に失敗し、新興企業の 4 分の 3 は支援する VC ファンドに利益をもたらしません。そして、ほとんどのスタートアップ企業の最大 70% が起業から 18 か月以内に倒産すると言われています。しかし、彼らは失敗を想定し対応の予測を行なっていません。むしろ「成功するだろう」と楽観的に捉えている傾向があります。
以下の過去の記事で述べたイノベーションに取り組む企業と一般企業では時価総額に大きな差が生まれることを彼らは知っているからです。
| イノベータ(イノベーション企業)と一般企業の時価総額の推移 | イノベーションに取り組み企業と取り組んでいない一般企業との時価総額の差について解説しています。 |
個人的には、もしかしたら、VC ファンドが多くの新興企業のイノベーションをオープンなプラットフォームによって状況把握し、成功と失敗のデータを蓄積し分析したとしたら、大きな成果を上げることにもつながるかもしれません。
話が外れてしまいましたが、投資家においても失敗ではなく失敗恐れずに挑戦する企業に投資判断がされると考えてください。
成功率の高い挑戦を行うためのイノベーションの仕組み
やみくもに挑戦すれば良いというものではありません。成功率の高い挑戦を可能にするのがイノベーション・マネジメントシステムです。
イノベーション・マネジメントシステムの仕組みでは、以下のような活動で成功率を高めることができます。
- コンセプトの検証段階で失敗経験を参照して失敗のリスクを取り払う。
- 人的資本からの失敗経験、組織における過去の失敗経験など、あらゆる経験を蓄積して活用できる。
- ビジネスモデルキャンパス(BMC)などで情報を整理し、価値の定義や基準を明確化できる。
これらの活動に必要な機能は、イノベーション管理ツールの機能として提供され利用することができます。
経営にとって必要不可欠なイノベーション管理の仕組み
イノベーション・マネジメントの仕組みは、失敗マネジメントにも応用でき、最近注目を集め出したCoE(センターオブエクセレンス)の実現にも応用できる仕組みです。
これはイノベーションだけの仕組みではなく経営マネジメントの中核となる仕組みとも捉えられます。
その方法論の国際標準規格はISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)という規格であり、この方法論を学ぶことは、予測不可能なビジネス社会のなかで継続的な成長をするための素晴らしい知識となると私たちは考えています。
この方法論やツールを活用した仕組み、組織・文化の形成などに興味がある方は、遠慮なくご相談ください。
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