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変わる組織、伸びる生産性:日本企業が取り組むべき改革ポイント

  • 著者 : INNOVATION WORLD 編集部
  • 25.02.07
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はじめに

2024年12月23日に内閣府が発表した名目国民総生産(GDP)はOECD(経済協力開発機構)に加盟する38カ国中22位に後退しました。比較可能な1980年代以降、過去最低の順位となりました。円安に加え、高齢化による成長力低下や労働生産性の低さが足かせとなっていると考えられています。2023年に発表されたデジタル政府指数においても、OECD(経済協力開発機構)に加盟する調査対象33カ国中31位となっています。

生産性向上が最重要課題であるにも関わらず、日本の生産性は2018年以降、顕著に低下しています。

生産性ランキング
出典:https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report2023.pdf


日本のビジネス組織と海外のビジネス組織における働き方の違い

日本のビジネス組織と海外のビジネス組織における働き方では、どのような違いがあるのかを以下に解説します。

項目 日本のビジネス組織 海外のビジネス組織
IT投資 保守的で消極的。コスト削減が優先され、新規ITツールの導入は慎重。 積極的にIT投資を行い、効率化や生産性向上のためのツールを導入。
コミュニケーション 主にメール中心。会議も対面が好まれる傾向。 チャットツールやビデオ会議ツール(例:Slack、Microsoft Teams、Zoom)を活用。
ファイル共有 ファイルサーバーやオンラインストレージ(例:Dropbox)を利用するものの、管理が煩雑。 クラウドベースのコラボレーションツール(例:Google Workspace、Microsoft 365)を活用し、効率的に共有。
業務プロセス 紙ベースの書類やハンコ文化が根強く残る。 電子署名やデジタルワークフローが標準化されている。
意思決定 トップダウン型。合意形成に時間がかかる。 権限移譲が進み、迅速な意思決定が行われる。
働き方の柔軟性 出社が前提。リモートワークは限定的。 リモートワークやフレックスタイムが浸透している。
業務効率化ツール 導入は部分的で、部門ごとに異なるツールが使われることが多い。 全社的に統一されたツールが導入されることが多い。
生産性意識 長時間労働や努力が重視される文化。 成果や効率を重視し、労働時間よりもアウトプットに注目。
研修・スキルアップ OJT(On-the-Job Training)が中心。デジタルスキル研修は少ない。 定期的なスキルアップ研修やITリテラシー教育が行われる。

タスク管理

個人依存型のタスク管理が多く、全体像が見えづらい。タスクの進捗はメールやExcelで管理されることが多い。 クラウドベースのタスク管理ツール(例:Trello、Asana、ONES Project)を使用し、タスクの透明性と可視化が徹底される。
マネジメント手法 トップダウン型。タスクは「指示・管理・監督」が中心で、権限移譲が不足しがち。 権限移譲が進んでおり、メンバーが自主的に判断できる環境が整備されている。マイクロマネジメントは避けられる。
プロジェクト管理手法 ウォーターフォール型が中心。計画重視で変更が難しい。 アジャイル型が主流。変化に柔軟に対応し、短期間で成果を積み上げる。
フィードバック文化 問題が発生した後に報告が行われることが多く、フィードバックは結果論的になりがち。 定期的な1on1や中間レビューが行われ、プロセス段階でフィードバックが行われる。

生産性が低くなる主な要因

日本の生産性の低さは、ビジネス環境の変化への対応の遅れや従来の働き方に固執するだけでなく、旧来型の組織構造とマネジメント手法にも根本的な原因があります。特に、役職者個人の能力への依存や組織としてのマネジメントの未成熟が大きな問題です。

役職者個人に依存したマネジメント

日本の組織でのマネジメント方法の多くは経営や部門長などの役職者個人の能力や経験に依存する傾向があります。

  • 意思決定の属人化:役職者がすべての意思決定を行う傾向が強く、部下は指示待ちの姿勢になりやすい傾向がある。
  • 引き継ぎの不十分さ:ノウハウや知識が役職者個人に集中し、適切に引き継がれないことが多い。
  • リーダーシップの欠如:部下の成長を促すリーダーシップよりも、単に管理や指示を行うだけの役職者が多い。

この結果、役職者の不在や退職によって業務やプロジェクトが停滞することがあり、組織としての持続性や再現性が不足する事例が散見されます。

従来型の働き方からの脱却が進まない

日本のビジネス環境では、長時間労働や対面での会議、細部まで管理されるトップダウン型のマネジメントが根強く残存しています。これらの働き方は高度経済成長期には大きな成果を上げましたが、現代の急速に変化する市場環境やデジタル化が進む世界では、もはや適合しなくなっています。

たとえば、以下のような問題が挙げられます

  • 長時間労働への美化意識: 労働時間の長さが努力や行動が評価され、効率性や成果が軽視される。人事評価制度を導入しても、結局は権限をもつ者の意見が反映されてしまう。
  • 紙文化・ハンコ文化:長年の紙文化・ハンコ文化から脱却できずデジタル化が遅れ、非効率的な業務プロセスが残る。
  • 意思決定の遅さ:複数の承認プロセスやリスク回避の文化により、迅速な意思決定ができない。

ITツール導入への消極性

多くの日本企業は、ITツールやデジタル技術の導入や投資に慎重であり、これは長期間に及んでいます。新しいツールを導入しても、従業員への十分なトレーニングが行われず、結果的に活用されないケースも少なくありません。さらに、タスク管理やコミュニケーションは未だにメールやExcelといった従来の手段に依存している企業も多く見られます。『とりあえずExcelやMicrosoft 365で対応する』という選択は、手作業の増加を招き、生産性を著しく低下させます。 JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)が発表した「企業IT動向調査2024 」においても、2024年度のIT投資予算において10%以上増加する割合は15.5%と依然として低い水準になっているのが日本の現状です。10%未満の増加では、地政学的な影響によって変動する価格によって現状維持程度となる可能性が高いです。解決したいビジネス上の重要課題があるにもかかわらず、日本のビジネス組織は解決するために必要なIT投資が行われていないことが浮き彫りになっています。

出典:JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)「企業IT動向調査 報告書」
https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/

▶柔軟な働き方への抵抗

リモートワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方がなかなか定着せず、多くの企業で「出社」が前提とされています。柔軟な働き方が可能であれば、従業員の生産性向上やワークライフバランスの改善が見込めますが、従来型の働き方に固執することで、柔軟な働き方の機会を逸しています。

▶組織構造の硬直化

日本の企業では、伝統的なピラミッド型の縦割り組織が多く存在します。
階層型組織:上層部から下層部への指示が中心で、現場の意見が経営層に届きにくい。
セクショナリズム: 部門ごとに独立性が強く、横断的な連携が取りづらい。
年功序列の影響:実力や成果よりも年齢や勤続年数が重視される傾向があり、優秀な人材の活用が十分に進んでいない。
この構造により、迅速な意思決定や柔軟な組織運営が難しくなり、変化への対応が遅れます。

▶マネジメント手法の未成熟

日本企業のマネジメントは「管理・監督」が中心であり、権限移譲や自律的なチーム運営が進んでいないことが多いです。
権限移譲と丸投げの違いが理解できない場合があり、現場メンバーが疲弊してしまう場合があります。
トップダウン型の管理:上司がすべてを管理し、部下は指示待ちの姿勢になりやすい。
責任の不明確さ:権限が委譲されていないため、責任の所在が曖昧になることがある。
報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の形式化:形式的な報告だけが重視され、本質的な問題解決が行われないことがある。
その結果、現場の主体性や創造性が損なわれ、マネジメントが単なる『タスクの監視』へと形骸化する恐れがあります。
この原因は、役職者や現場メンバーが悪いのではなく、ビジネス環境の変化に追随するためのマネジメントの仕組みや教育を行わずに放置してしまったことが原因を考えられます。

▶イノベーションを阻む文化

新しいアイデアや変化に対して慎重すぎる文化も、日本企業の生産性向上を阻む要因です。失敗を恐れる文化が根強く、挑戦や変革が避けられる傾向があります。結果として、旧来の成功体験に依存し、変化に対する適応力が鈍くなっています。
失敗を許容しない文化:挑戦よりもリスク回避が優先されることで、従業員が新たなアイデアを提案しにくい環境が生じる。
同質性の重視:多様性よりも「空気を読む」ことが重視され、革新的な意見が抑圧される。
上下関係の強さ:役職者の意見が優先され、現場の柔軟な対応が阻害される。
これにより、組織として新しいビジネスモデルや働き方を採用することが難しくなります。

▶成果主義ではなく労働時間主義

多くの企業では「何時間働いたか」が評価される傾向があり、「何を達成したか」という成果は二の次になりがちです。その結果、効率的に業務を遂行し早期に完了させることよりも、労働時間の長さが評価される文化が根強く残存しています。


生産性を高めるための方法

▶IT投資予算を倍増する

日本のビジネス組織は、長期に渡りIT投資予算の削減を行ってまいりました。それは総務省が発表する「進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0」に記載される「2.ICTの導入に関する動向」「ICT投資額の推移」にも明確に記されています。

緊縮したIT投資では、現在だけでなく将来のビジネス課題への対応も遅くなり、将来のリスクを増やすことにもつながります。

生産性向上のためにIT投資予算を抜本的に増額し、前述の生産性低下要因を排除するための仕組みやITツーの導入に取り組む必要があります。

▶マネジメントシステム(仕組み)の導入

多くの企業は、1on1ミーティングやビジョン・ミッション・バリュー(VMV)の浸透、人事評価制度の導入など、さまざまな課題解決に取り組んでいます。しかし、それでも期待する成果を実感できていない場合が少なくありません。これは、目的や目標が明確に設定されず、場当たり的な対応になっていることが原因の一つと考えられます。

世界にはさまざまなマネジメント手法やフレームワークが存在します。その中でも、日本のビジネス組織に適したフレームワークとして注目されているのがISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)です。

エンタープライズアジャイル手法(例:Scaled Agile Framework®、Spotifyモデル、Scrum@Scaleなど)も効果的ですが、これらはアジャイルに特化したフレームワークであり、組織全体の生産性を高めるには限界があります。

さらに、すべての業務プロセスをアジャイル化し、組織全体にアジャイル手法を浸透させるには、多大な時間と労力が必要です。また、アジャイル手法は万能ではなく、状況や目的に応じてウォーターフォール手法との使い分けが重要です。

ただし、アジャイル手法によるIT製品開発という領域に限れば、エンタープライズアジャイル手法は非常に効果的であるといえます。

一方で、業界や組織の枠を超えて広く適用できるフレームワークとしては、ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)が有効です。このフレームワークはイノベーション・マネジメントに関する部分だけと思われがちですが、前述の生産性を低下させる要因を排除するための要素が多く含まれており、生産性を高めるためのフレームワークとしても多大な効果を発揮することでしょう。

▶マネジメントツールを導入する

ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)には、必要な支援体制のなかにITツールを活用することが明確に記載されています。

海外のビジネス組織では専用ツールを使って有効に活用するのですが、日本のビジネス組織では、コストをかけて失敗することを恐れ、最初はコストをかけないことを前提にすることが多く、とりあえずMicrosoft365(Excelなど)や汎用的なツールを利用しようとしてしまいます。ビジネスの重要課題を解決するためのIT投資は積極的に行う必要があります。ここではISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)の実現に必要な3つのITツールを紹介します。過去の記事においても多くのITツールをご紹介させていただきました。

過去記事 ビジネスのアジリティを最速化するISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)とは

ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)の基礎的な仕組みを構築するためには3つのITツールが欠かせません。

  • イノベーション管理ツール
    世界のビジネス組織では導入が進んでおり、CAGR(年間平均成長率)も2桁成長を継続している市場でもありますが、あまり日本では認知されていないのが現状です。それでも日本企業に多く採用されているイノベーション管理ツールがIdeaScale(アイデアスケール)です。
  • プロジェクト管理ツール
    アジャイル手法とウォーターフォール手法のハイブリッドなプロジェクト管理ができるプロジェクト管理ツールです。無料でe-ラーニングや日本語マニュアルが提供されており学習コストが少ないプロジェクト管理ツールがONES Project(ワンズプロジェクト)です。30ユーザーまで永続的な無料利用が可能であり、最初の仕組み化には十分な機能を提供しています。
  • ナレッジ管理ツール
    ビジネス組織が創出した価値を継続して維持・向上させるためにはナレッジ管理は重要な仕組みです。そして生成AIを取り入れたナレッジ管理ツールではONES Wiki(ワンズウィキ)が効果的です。30ユーザーまで永続的な無料利用が可能であり、最初の仕組み化には十分な機能を提供しています。

組織構造、人事評価制度などの方法については次の機会とさせてください。
関連する記事としては以下をご紹介させていただきます。


イノベーション・マネジメントシステムへの取り組み

多くの日本企業がイノベーション・マネジメントシステムへの取り組みを開始しています。関連記事として以下をご紹介いたします。

経済産業省が公開した企業と投資家の対話のための「価値協創ガイダンス 2.0」では、イノベーションの仕組みによる価値共創の重要性が記載されています。イノベーション・マネジメントシステムは、価値の創出だけでなく、組織を活性化させ、従業員エンゲージメントの向上を促し、投資家へ企業価値を説明するための重要な仕組みとして注目され、導入を検討する企業が増加しています。


最後に

目的はイノベーション・マネジメントシステムのISO取得ではなく、ビジネス課題を解決することです。この目的を達成するには、必要なIT投資を行うことが重要です。イノベーション管理ツールから始めるのか?それともプロジェクト管理ツールから始めるのか?ナレッジ管理ツールなのか?組織の状況に応じて最初にやるべきことは異なります。

まずは、イノベーション・マネジメントシステムの専門家が集う株式会社システムコンシェルジュへご相談いただくことで、組織の状況に応じた最適なご提案が可能です。遠慮なくご相談ください。


ISO56001の基礎的な仕組構築に必要な3つのITツールの資料を無料公開中

株式会社システムコンシェルジュでは、ONES Project、ONES Wiki、IdeaScaleの資料に加え、さまざまな組織の課題を解決する方法論や仕組み化を説明した資料も無料公開しています。

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INNOVATION WORLD 編集部

株式会社システムコンシェルジュが運営するオウンドメディア「イノベーションワールド」の編集チームです。皆さまのお困りごとを解決する私たちの取り組みなどをご案内いたします。

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